内容説明
新元号が発表された2019年4月、老舗映画会社・銀都活劇の宣伝チームで働く砂原江見は岐路に立たされていた。長く務めた勤務先が、大手IT企業傘下の映像配信会社に買収されることが決まったのだ。すべての企画が止まった社内には弛緩した雰囲気が漂い、不穏な噂が飛び交っている。DVDの宣伝を手がける江見の部署も、一癖ある部下たちも、この先どうなるかわからない。では社名が消えるまでに、自分はどんな“仕事”がしたいのか――働き方は十人十色。時代や元号がどんなに変わろうとも、自分の働き方を決めるのは自分だけ。すべての働く大人たちにエールをおくる傑作小説!/解説=松井ゆかり
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おいしゃん
24
【2024-4】会社が消える前に大きなプロジェクトを!と奔走する映画会社メンバーを描く。一枚岩ではいかず、抵抗勢力や難題が阻むのもリアルで読み応えがあった。ただ、解説がありがちな登場人物紹介のみなのが残念。解説者は、3人の子育て体験をテーマにした文筆家のようなので、それこそ今作のテーマのひとつでもある、「家庭と仕事の折り合い」などに絡めて、読後の余韻を豊かにしてほしかった。2024/01/05
mariann
18
元号が平成から令和に替わり、未曾有の10連休。新しい時代の希望に湧くなか、1つの会社が姿を消そうとしている。銀都活劇。通称銀活。ミニシアターが全盛期だった90年代を彩った配給会社で働く江見を軸とした物語。90年代はバブルも弾け世相も物々しく、暗黒の時代と言われていたが、次々と生み出される宝石も数多くあったんだとこれを読みながらしみじみと感じた。江見以外にも銀活のメンバーの心境も一幕としてあるが、皆揃って心に不安や不満があるし儘ならない。けれど閉幕での譲との会話が全てを纏め上げていてとても良い物語を読めた。2024/02/14
マダムぷるる
16
キネマトグラフィカの続編。前作に引き続き面白かった。令和に改元される頃から始まる物語。平成から令和へ時代の移り変わりに伴い、なくなるもの変わるものがあり、昭和の異物のような考え方や組織があり、家庭内のバランスもあり、とどのエピソードも私にはドンピシャ。時に自分と重ねイライラしたりジーンとしたり、作品に入り込んで読んだ。古内一絵作品で使われる言葉は私のレベルにとっては高尚で、時々調べながらの読書だった。(特に前半)紙の辞書を引きながら読書をしていたティーンエイジャーの頃を思いだし、これはこれで楽しかった。2023/10/23
もけうに
7
良質な群像劇&お仕事小説で、前作より面白かった。前作がフィルム時代の映画業界を懐古するような内容だったのに対して、今作は業界要素は薄く、純粋なお仕事小説。「平成元年組」のその後もわかるのが良い。咲子&麗羅がやはり好き。キャリアを築いた先が結局「ここ」なのかと思う咲子。才色兼備で仕事が出来ても、未婚子無しというだけで欠けているように扱われる麗羅。時代が変われど、とかく女性は生き辛い。私は成平と同学年だが、別に早生まれを平成生まれ扱いする風潮は一切無かったぞ。意識したことも無い。そこはわかってないなーと思う。2024/06/07
moo
6
まさに90年代、背伸びしてゲンズブールを見に渋谷へ出かけてた。面白いのか面白くないのか分かんないままに、当時の映画日誌にはたくさんのミニシアター系の映画名が羅列してある。こんな仕事もあったんだなぁ。前作から今作も関わる社員の仕事は壮絶だけど、それでも楽しそう。でもなんか、キャラクターが好きになれない人が多いんだな。咲子の家庭も、調子に乗っちゃったなっていう一言じゃ、許せない。2025/01/29
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