神

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  • ISBN:9784488011291

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内容説明

78歳の元建築家ゲルトナーは、医師に薬剤を用いた自死の幇助を求めている。彼は肉体的にも精神的にも健康な状態だ。ただ、愛する妻を亡くし、これ以上生きる意味はないと考えている。ドイツ倫理委員会主催の討論会が開催され、法学、医学、神学の各分野から参考人を招いて、彼の主張について議論することになった。「死にたい」という彼の意志を尊重し、致死薬を与えるべきか? ゲルトナーのホームドクターや顧問弁護士も意見を述べ、活発な議論が展開される。だが、最終的な結論をくだすのは――観客の「あなた」だ。本屋大賞「翻訳小説部門」第1位『犯罪』の著者が放つ、医師による自死の幇助の是非について観客が投票する緊迫の戯曲!/【目次】第一幕/第二幕/付録「実存的、宗教的および文化的観点から見た自死とその介助」ハルトムート・クレス/「自死の介助――倫理的論争の観点」ベッティーナ・シェーネ=ザイフェルト/「法における自死」ヘニング・ローゼナウ/解説=宮下洋一

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケンイチミズバ

91
ネタバレをせぬよう読了前にコメントしました。シーラッハの考えは例によって弁護士ビーグラーが代弁します。討論が特にカソリック代表に対して詰問口調になりここは法廷ではありませんと度々促されます。ナチによって使われた価値のない命という言葉、遠くない将来、高齢者には自分で命を絶てという圧力がかかるでしょう。には日本で起きた事件も思い起こされます。命は「神」が与えたもの、死もまた「神」が判断すべきもの。患者が選ぶ自死を「神」が認めないなどには私も異論があります。自死そのものには否定的ですが。どんな結論に至るのか。2023/09/19

たま

57
期待して読んだが、期待外れだった。以下辛口です。安楽死(自殺幇助、臨死介助)の是非を戯曲形式で論じる。医師による自殺幇助を希望しているゲルトナーとその弁護士、つまり自殺幇助賛成派の二人と、批判的な倫理委員会委員がそれぞれ法律、医学、宗教の専門家と討議する。戯曲としての工夫はゼロで浅薄な意見の羅列と感じた。医師と司教は反対派で、それなりの経験を経た深い意見があって当然と思うのだが全然深みがない。欧米の議論は日本には適用できないと言う宮下洋一さんの解説だけが面白かった。2023/12/31

R

54
戯曲。法廷舞台劇という装置を使って、神の存在や認識について、自殺というテーマから掘り下げるものだった。実際にこれが演じられているものを見たいと強く思うほどだが、多分セリフで聞いたら全然理解できないようにも思う。自殺の権利はありやなしやという話から、そもそもそれを許す許さないを神が決めるのか、自分という存在は神のものなのかといった高度なやりとりが出てきて、そういう宗教観のない自分には新鮮なやりとりで、こういうものが難題となる文化の一端を見られたようで興味深かった。2024/02/12

空猫

38
安楽死の是非を裁判形式で問うた戯曲。こういう場に宗教が絡むのはお国柄で倫理委員、法医学者、以外に神学者と司教が登場する。生死の決定権は神にしか無く罪になるのが定説である、と。だが、安楽死を認める国々も増えているのも事実だ。医療の発達で死んでもおかしくない人まで生かしてしまうのも。日本では周知の通り安楽死は不認可であり幇助も罪になる。だが不治で苦痛を伴う病を患う、或いは認知症が重症化する前に「死」を選ぶことすら許されないのは虐待、人権侵害ではないのだろうか。どう生きるか どう死にたいか 永遠のテーマですな。2023/11/06

あっちゃん

33
妻を亡くした老建築家が安楽死を求め裁判へ!戯曲の形で様々な観点から安楽死の是非を問う内容、建築家の問題というより今後の指針としての問答で意外と読みやすい(笑)ナルホド物事を制定するというのは難しいのね( ̄ー ̄)2024/01/14

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