内容説明
仕事師内閣を率い、行革を断行した信念の政治家の渾身の生涯とその知られざる素顔。わが政治、わが人生、わが妻。――日本のみならず海外での活躍が光った大物政治家の国家大計の思想に触れ、広く読者が天下国家を語りあう契機となる、決定版自伝です。
政治家の場合、人生の回想を記すことは、読者を裁判官とする歴史の法廷に被告として立たされることである。……特に人生の晩年に書く『回顧録』には、得てして成功物語が多い。本当は身を刻むような挫折と失敗の連続で、成功と喜べるのは選挙で大勝した時くらいのものであるのに……。毎日、毎日は苦渋に満ちている。その失敗の記録のほうが、実は尊いのだろう。しかし、私のようなのんき者は、苦しかったことはおおむね忘れて、楽しかったことのほうが記憶に残っている。(「まえがき」より抜粋)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Pikatyuagarden
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・昭和16年(1941年)8月、海軍経理学校を卒業して、私は第一艦隊第六戦隊の旗艦、巡洋艦「青葉」に乗り組みを命じられた。三番艦「加古」、四番艦「古鷹」には、内務省で同期の早川崇、大村襄治君がいる。 ・一行でニューヨークへ旅行した際、セミナーのスポンサーの一人である老婦人の大邸宅に歓待された。私が挨拶すると、老婦人は「どこかで聞いた声だ」と言う。私が「ハーバードで公開演説をしました」と答えると、大きく頷き「そうです。セクシャル・アピール(性的魅力)のある声でした」と微笑んだ。私は満更でもなかった。2017/04/10
ノノ
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日本の政治家が書いた本としてかなり面白い部類だと思う。但し後書きにも書いてある通り回顧録としては内容が薄いので内容については何とも言えない。この本一冊だけで判断すべきてはないかも。2013/08/07
shiaruvy
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コメント予定
うーひー
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若い頃に描いたあるべき日本像と、そのために必要となる要素(中曽根の場合、憲法改正や原子力)を一貫して追求していた。様々な選択肢を前にして、一種のセンスでもって優劣を鮮やかに付けられる中曽根は、正直うまく行き過ぎているなと思うくらいに典型的かつ理想的な政治家人間だった。彼の人生論の部分で面白いなと思うのは、kill the time(キャリアの休息期間を設けていること)の話と、あと孤独を愛する部分。田舎の農家でひとり開拓するの楽しそう。2018/06/03