岩波ジュニア新書<br> 核のごみをどうするか - もう一つの原発問題

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岩波ジュニア新書
核のごみをどうするか - もう一つの原発問題

  • 著者名:今田高俊/寿楽浩太/中澤高師
  • 価格 ¥1,056(本体¥960)
  • 岩波書店(2023/08発売)
  • GWに本を読もう!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~5/6)
  • ポイント 270pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784005009671

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内容説明

原子力発電によって生じる「高レベル放射性廃棄物」は国内に大量に溜まり続け,放射能の影響が弱まるまで長い年月を要するといわれている.この危険な「核のごみ」をどこにどのような方法で処分すればよいのか.私達はこの問題とどう向き合えばよいのか.専門家らによる提言を読み解きながら問題解決への道を探る.

目次

序章 核のごみ問題とは?―高レベル放射性廃棄物の処分をめぐって(今田・寿楽)
核のごみとは何か
原子力発電の開始いらい30数年間も問題を放置した
とても危険な核のごみ
どう処分しようとしているのか
地層処分はNUMOが担当することになっている
科学の力で安全と言い切れるのか
核のごみ処分についての悩ましい問題
不公平問題をどうするかも悩みのたね
世界でも核のごみ処分は大きな問題になっている
第1章 海外の取り組みから学ぶ―日本固有の事情を考えるために(寿楽)
原子力発電大国アメリカでの紆余曲折
カナダの経験と「適応性のある段階的管理」
「可逆性」にこだわるフランス
日本と類似するイギリスの取り組み
ドイツでの脱原発と核のごみ処分政策の見直し
脱・脱原発国スウェーデンの悩み
核のごみ処分場のトップランナーとされるフィンランド
第2章 地層処分の科学技術的な根拠はあるのか(今田)
核のごみを超長期にわたって人間界から隔離する
地層処分,地下300mより深く埋めて封印する
核のごみ(再処理後に残る)のガラス固化体2万6000本
大地震・火山活動による爆発・飛散の危険性を考える
地下水の流れによる安全評価は不十分
地層処分の安全性を研究―瑞浪超深地層研究所と幌延深地層研究センター
第3章 国民的理解を得るにはどうすればよいか―原子力委員会からの審議依頼(今田)
処分地候補に応募する自治体がない
原子力委員会が日本学術会議へ審議を依頼
高レベル放射性廃棄物の処分に関する検討委員会を設置
国民の理解が得られないわけ
どのような観点から議論すればよいか
原子力委員会へどのような回答をしたのか
さらに何をなすべきか
第4章 行き詰まりを打開する具体策はあるのか―12の政策提言(今田)
暫定保管と中間貯蔵はどう違うのか
政策提言の大まかな構成とは
どうする暫定保管の方法と期間
事業者の発生責任と地域間負担の公平性が問われている
将来世代への責任をどう取るのか
最終処分へ向けた立地候補地の選定とリスク評価をどうするのか
合意形成に向けた組織体制をどう整えるのか
第5章 少人数の討論によって理解を深める―Web 上の討論実験(今田)
討論型世論調査で良質な民意を測る
Web 上の討論型世論調査をどのように設計したか
地層処分についての理解は得られたか
中間貯蔵よりは暫定保管のほうが望ましい
総量管理による「脱核ごみ」意識は討論にかかわらず高い
第6章 受益圏と受苦圏の分離がもたらす不公正問題(中澤)
受益圏・受苦圏とは何か
分離する受益圏と受苦圏
介在する社会経済的格差
経済的補償にともなう問題
複雑化する受苦圏と受苦圏の利害対立
国外にまで広がる受苦圏
将来世代にも影響がおよぶ
解決策はどうあるべきか―分離型から重なり型へ
第7章 リスクをどう受け止めるか―不確実性のもとでの意思決定(寿楽)
リスクの語源ともとの意味
リスクと自己責任
現代社会のリスクの性質
自己責任論では解決できない
リスクを定量化すればよい?
破局的なリスク
未知の度合いの高いリスク
不確実性とどう向き合うか―核のごみに立ち戻って考える
法制度的枠組みを再検討する
科学者の認識共同体で開かれた検討を進める
使用済み核燃料の存在と取り組み
多段階の合意形成への取り組み
終章 社会の叡智が問われている―エネルギー問題の将来を見据えて(寿楽・今田)
答えを出さねばならない問題
どこにも答えがない問題に答える
取り切れない責任を取る仕組みを考える
社会の叡智を集めて
学術の役割,政治の役割
市民の役割,皆さん自身の役割
注記
付録 委員会構成メンバー一覧
おわりに

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

rico

48
通常は事業で出たゴミは排出した事業者が処理責任を負う。原発では、溜まり続ける放射性廃棄物はとりあえず再処理され有効利用される予定というロジックで、お目こぼしになってる・・・?「ジュニア新書」という媒体らしくわかりやすく問題の本質を整理している印象。現時点で絶対的「解」はないということがよくわかる。たとえ今後原発が一切稼働しなくても核のゴミ問題はなくならないことも。それを地方に押し付けて蓋をし、再稼働を進めるのはあり得ない。少なくとも本書で提言されているゴミの量の上限設定は必要。日本学術会議、頑張ってる。 2024/03/31

coolflat

17
日本での核のゴミ処分に関しては「最終処分法」が2000年にできた。これによると核のゴミの最終処分は地下300m以上の深地層に埋設することになっている。これを地層処分と言う。「最終処分法」では核のゴミ処分を専門的に担当する組織としてNUMOが設けられた。NUMOは核のゴミの最終処分地を選定する作業を行わなければならない。最終処分地の選定の3段階は「文献調査(約2年)」、「概要調査(約4年)」、「精密調査(約14年)」からなる。調査が順調に進んだとしても、最終処分地をつくれるかどうか出揃うまでに約20年かかる2023/08/19

にたいも

13
原発に賛成か反対かはひとまず置き、とにかく行き詰まっている現状について、今生きている私たちがちゃんと考えるための本。地層処分ありきの政策のそもそもを問うこと。暫定保管と総量管理を柱とした取り組みをすること、討論の場を設け多段階の合意形成の手続きをすることなどが提唱されている。本編は一般向き新書並みの難度かと思う。10代の人は、とっつきにくいと感じたら、序章と終章は分かりやすいのでここだけでも読んでほしい。特に終章は、来年の難関中学・高校受験に出るんじゃないかな…。2023/10/31

makio37

12
地層処分は1万~10万年先にまでおよぶ。今後もし日本が原発を中止したら、以降の世代は自分たちはその利益を得ないのに、核のごみの危険性とは向き合い続けさせられることになる。処分場所だけでなく時間の観点でも「受益圏」と「受苦圏」の問題があることを認識できた。最終処分場の適否判断の調査だけで約20年かかる、とも知った。気が遠くなるが、311経験世代として何もしないのは罪と感じる。勿論答えはないが、国民的議論と合意形成のための「暫定保管」(中間貯蔵ではなく)と「総量管理」がポイントとは書かれている。2023/10/15

西澤 隆

9
本当の意味で反原発なら核のゴミをどうするかは重要な問題。既にある以上原発をはじめたひとを呪ってもなくなるわけではない。2011以降の原発の長期間停止で冷やしてキャスクに収納しての乾式保管は現実味を帯びてきたけれどそれも「他の場所に持ち出す約束で一時保管している」プール内の使用済み核燃料の保管施設を作ろうとすればまた「紛糾」する。誰かのせいにしても問題は消えない。本書では問題の整理は行われているけれどリスク管理専門家としての「提案」があるわけではない。タブーを恐れぬ合意形成のための議論が必要なのだと思うのだ2024/04/11

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