内容説明
当初,「病理的な登校拒否の長期化」や「非社会的な若者」として取り上げられた「ひきこもり」の概念は,社会的認識,当事者像,医療的アプローチ,いずれも大きく変遷を遂げ,現在も変わり続けている.当事者・臨床家・研究者の3人がこの30年間を振り返り,いかなる支援と対応が望ましいのか,「ひきこもり」が何を世に投じているのかを論じる.
目次
はじめに(石川良子)
第1章 「ひきこもり」の三〇年を振り返る
1 「ひきこもり」史を振り返る(林恭子)
2 「ひきこもり」の問題設定を捉えなおす(石川良子)
3 精神医療からみた「ひきこもり」史(斎藤環)
第2章 「ひきこもり」の捉えなおしと未来
1 「ひきこもり」とはだれか
2 なんのための支援か
3 語ることと聴くこと
4 親子の葛藤
5 「ひきこもり」と地域
6 「ひきこもり」という看板の悩ましさ
あとがき
「共に在る」未来へ(林恭子)
ひきこもることが問題視されない社会へ(斎藤環)
不登校・「ひきこもり」の年表
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
n___syu.
4
「斜めからの支援」「〇〇の看板をおろす」治そうと思わない、それぞれの適応力がある、、深い。当事者目線でないと気付けないこと。2023/09/07
みさと
3
1980年代後半から問題とされた不登校や、引き続いた「ひきこもり」に対して社会はどのような認識を持ってきたか。当事者(林恭子)、研究者(石川良子)、精神科医・臨床家(斎藤環)の三者が公開シンポジウムで語り合った記録。当初、不登校や「ひきこもり」は病気として治療の対象、根絶するべきものと考えられた。しかし、「ひきこもり」という病理が存在するわけではない。社会的偏見やスティグマ性が減れば、ひきこもる人の数はかなり少なくなるはず。いかなる支援と対応が望ましいのか。「ひきこもり」が何を世に投じているのかを論じる。2023/10/11
ゴリラ爺さん
0
社会学者の石川良子、元当事者で「ひきこもりUX会議」発起人の林恭子、精神科医の斎藤環による立教大学でのシンポジウムを収録したブックレット。100ページに未満の小著ながら、90年代の不登校とスチューデントアパシーからひきこもりが剔抉されていく過程や、ゼロ年代の犯罪者予備軍言説とそれに対するカウンター、10年代の就労移行支援等、ひきこもりを考えるための前提が簡潔に纏められている。巻末に年表あり。鼎談も精神疾患、発達障害、ニート問題、毒親、行政施策等、ひきこもりに関する論点が網羅されていてよかった。2024/02/20
星辺気楽
0
本人の弁が少ない。2023/10/09