内容説明
東大生が入学して最初に身につける,社会を生きるための歴史学的思考法.「大学で学ぶ最初で最後の歴史学」を念頭に,じっさいに東大駒場で1・2年生向けに行われている全12回オムニバス講義.他大学の1・2年生はもちろん,歴史好きの高校生やビジネスパーソンも必読の,教養としての歴史学.
目次
はじめに
第I部 過去から/過去を思考する
第1章 歴史に法則性はあるのか――歴史と変化の理論(桜井英治)
1 成長モデル――一度かぎりの歴史
2 周期モデル――歴史はくり返す
第2章 過去の痕跡をどうとらえるのか――歴史学と史料(渡辺美季)
1 歴史学の営みと史料
2 歴史学の「歴史」と史料
3 狭義の史料と広義の史料
第3章 時間をどう把握するのか――暦と歴史叙述(田中創)
1 暮らしを取り巻く時間
2 暦と歴史叙述
第II部 地域から思考する
第4章 人びとの「まとまり」をとらえなおす――歴史の中の国家と地域(杉山清彦)
1 世界史と「国家」
2 「地域」からとらえる歴史
3 ふたたび「国家」へ――歴史の中の国家と社会
第5章 現代社会の成り立ちを考える――グローバリゼーションの歴史的展開(黛秋津)
1 グローバル社会の形成過程
2 歴史的グローバリゼーションの展開――近代移行期のバルカンを例として
3 グローバルな歴史のとらえ方――グローバル・ヒストリー
第6章 植民地主義と向き合う――過ぎ去らない帝国の遺産(岡田泰平)
1 近代と帝国主義
2 植民地主義と植民地研究
3 世界史の中の脱植民地化
第III部 社会・文化から思考する
第7章 世界像を再考する――イスラームの歴史叙述と伝統的世界像(大塚修)
1 中東イスラーム地域における歴史
2 中東イスラーム地域における伝統的世界像
第8章 内なる他者の理解に向けて――儀礼と表象,感性の歴史学(長谷川まゆ帆)
1 人類学の誕生と歴史学への浸透
2 「棲み分け」から対話へ
3 歴史の動的過程の理解に向けて
第9章 当たり前を問う,普通の人びとを描く――日常史と民俗学(岩本通弥)
1 民俗学とは何か
2 日常史の誕生と展開
第Ⅳ部 現在から/現在を思考する
第10章 「近代」の知を問いなおす――歴史学・歴史叙述をめぐる問い(井坂理穂)
1 歴史学を問いなおす
2 南アジア近代史の分野での模索
3 歴史学・歴史叙述のあり方をめぐる模索
第11章 アナクロニズムはどこまで否定できるのか――歴史を考えるコトバ(山口輝臣)
1 否定されるアナクロニズム
2 アナクロニズムは排除し切れるのか
3 アナクロニズムと向き合う
第12章 「私たちの歴史」を超えて――ともに生きる社会のために(外村大)
1 歴史が作り出す「私たち」
2 国史が生み出す対立と抑圧
3 他者理解としての歴史学
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筑紫の國造