ちくま新書<br> 福沢諭吉 変貌する肖像 ――文明の先導者から文化人の象徴へ

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ちくま新書
福沢諭吉 変貌する肖像 ――文明の先導者から文化人の象徴へ

  • 著者名:小川原正道【著者】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 筑摩書房(2023/08発売)
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  • ISBN:9784480075765

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内容説明

福沢の思想は毀誉褒貶にさらされてきた。それは福沢の議論の変化というよりも、福沢をとりまく世論の側の変化によるものといえる。福沢を評価した徳富蘇峰は、晩年には福沢が日本の伝統的な良風美俗を破壊したと罵倒。戦後は丸山眞男から原則ある実学思想家として賞賛されるも、朝鮮蔑視の脱亜論者として批判もされ、他方で1980年代半ば以降は1万円札の肖像となり、文化人の象徴となった。福沢評価の変遷をたどり、その過程を詳細に考察。福沢の実像を浮かび上がらせる。

目次

序章 福沢を論じた知識人たち/福沢評価の変遷/知識人の役割/本書のねらい/第一章 存命期の論争──学者職分論から修身要領まで/1 幕末・維新期の福沢諭吉/幕臣としての挫折/在野への決心/2 学者職分論争/学者は民間にあるべし/「官」学者からの批判/3 民撰議院論争/明六社での論議/反時期尚早論/4 国会論争/英国型議会政治へ/ルソー流国会構想/5 官民調和論争/官民調和論/官民調和論批判と徳富蘇峰/物質文明の輸入者/6 徳育論争/政府の徳育政策/『徳育如何』/徳育論議/7 宗教論争/実用的宗教論/キリスト者の反発/8 修身要領論争/教育勅語と修身要領/井上哲次郎の修身要領批判/修身要領の課題/第二章 死去──『福沢先生哀悼録』にみる「文明」の先導者/1 福沢の死と主要新聞/蘇峰と桜痴/読売、朝日、万朝報/2 知識人の評論/三宅雪嶺の評論と「瘠我慢の説」/『太陽』と『中央公論』/キリスト者の反応/仏教とジェンダー/3 友人からのメッセージ/旧友の声/同志と医師/4 慶應義塾の門下生・学生の声/福沢「コンパス」論/学生の反応/第三章 忘却から批判へ──大正期から太平洋戦争まで/1 往生の余韻のなかで──一九〇〇年代/林毅陸と大隈重信/『中央公論』特集/2 慶應義塾の内と外──一九一〇年代/鎌田栄吉の熱弁/顕彰から忘却へ/田中王堂の登場/福沢批判の声/3 固定化する「乖離」──一九二〇年代/慶應義塾関係者の語り/低調な福沢論/4 「立憲主義者」としての福沢──一九三〇年代/慶應義塾を支えるために/「国権論者」福沢の強調/福沢ルネッサンス/立憲主義と国権主義/文部省と検閲/マルクス主義の観点から/和辻哲郎と木下尚江/5 試練の時代──一九四〇年代/日米開戦前夜の福沢論──慶應義塾/日米開戦前夜の福沢論──京都/日米開戦と福沢攻撃・弁護/戦時下・丸山眞男の福沢論/徳富蘇峰の攻撃/小泉信三の反論と「傷」/第四章 華麗なる復活──連合国軍占領と横溢する賛美/1 占領の開始と民主化政策のなかで──慶應義塾からの声/「独立自尊主義」の再登場/検閲の実態/慶應義塾内の福沢再評価/2 慶應義塾外の福沢論/羽仁五郎と「原則」/自由と民主教育の象徴/3 福沢研究の進展/慶應義塾の福沢研究/戦後・丸山眞男の福沢論/4 検閲終了後の福沢論/福沢賞賛論の系譜/左派からの援護射撃/5 福沢批判者たち/家永三郎からの挑戦/遠山茂樹の登場/『福沢諭吉選集』の刊行/第五章 「脱亜論」の主唱者として──戦後歴史学からの批判/1 占領の余韻の中で──一九五〇年代の慶應義塾関係者たち/語り継がれる福沢/『福沢諭吉全集』の刊行/2 賞賛、批判、実証──一九五〇年代の知識人たち/継承される賞賛/左派からの攻撃/実証主義的研究の探究/福沢の文章/3 「脱亜論」者への道──一九六〇年代/『福沢諭吉』(岩波新書)の刊行/ライシャワーと丸山眞男/「予言者」としての福沢/アカデミズムの中の福沢論/労働者軽視への批判/社会思想史からの攻撃/「脱亜論」者福沢/「脱亜論」の発見と拡散/4 「通説的理解」の登場──一九七〇・八〇年代/高橋誠一郎と富田正文/羽仁五郎と岡義武/追及される「脱亜論」/ひろたまさきの批判と整理/「脱亜論」の位置/終章 一万円札の肖像へ/『福沢諭吉選集』解説/福沢研究の活性化/紙幣肖像への道/「文化人」の象徴/あとがき/参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAN

12
一万円札でよく知っているはずなのに、キャッシュレスの時代で少し印象は薄くなっているのかもしれない。『文明論之概略』は、丸山眞男の論評本があるので読もうとしたけれど、挫折したまま。時代によってさまざまに評価が変わっているけれど、自分としては在野で、日本国の近代化に貢献した啓蒙思想家、教育者、そして家族を大事にしていたという人物像は非常に魅力的に映る。『学問のススメ』、『文明論之概略』はまず原文で読み、明治期を生きた生きざまをもう少し深堀りしてみたい。2023/11/20

スプリント

5
文明の先導者・新しい文化の先駆者というイメージから文化人のシンボルに代わっていく過程が理解できた。2023/11/04

takao

3
ふむ2024/05/15

ふら〜

1
福沢諭吉の評価の変遷。慶應の人、お札の人というイメージがあるが、実際に行った主張やそれが世の中からどのように見られていたかを時代を追って見ることができる。慶應生にとっては永遠の先生なんかな。2023/10/31

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