講談社選書メチエ<br> 〈精神病〉の発明 クレペリンの光と闇

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講談社選書メチエ
〈精神病〉の発明 クレペリンの光と闇

  • 著者名:渡辺哲夫【著】
  • 価格 ¥1,925(本体¥1,750)
  • 講談社(2023/08発売)
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  • ISBN:9784065330241

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内容説明

臓器と違って目には見えない精神の疾患を、はじめて分類・体系化し、〈精神病〉を発明したエミール・クレペリン(1856-1926年)。無意識を発見したフロイトと偶然にも同じ年に生まれ、フロイトと並んで現代精神医学の基礎を築きながら、その名は忘却され、彼が築いた分類と体系だけが、所与であるかのように、世界中で広く使用される診断マニュアルの土台となっている。
冷酷非情である一方、純粋で情熱的な面もあわせ持つ複雑な人物の半生を辿り、葛藤と煩悶を繰り返して生み出された体系の功罪を描き出す。精神医学誕生秘史!

「汝が名は忘却の淵に沈めども その業績は永遠なり」――。クレペリンが眠るハイデルベルクの墓碑にはそう刻まれている。
心臓や肝臓などの内臓の疾患は、その器官の病変や症状から、病を特定し治療にあたることができる。しかし、どこでどのような異常が生じているのか目で見ることのできない精神の疾患は、何をもって同じ病、あるいは違う病であると診断し、治療にあたるのだろうか。
同じ症状を呈しているからと言って、同じ病とは限らず、まったく違う症状でも同じ病ということもありうる。そもそも分類自体が可能かどうかさえ疑問だった時代に、悩みながらもそれらを分類し、体系化した人物こそエミール・クレペリンにほかならない。その成果は今、日本はもちろん世界でも広く使用されているDSM‐5やICD‐10と呼ばれる精神疾患診断マニュアルの土台となった。目に見えない精神の病を分類・体系化することで、言わば「精神病」を発明したともいえる。
奇しくも無意識を発見したフロイト同年に生まれ、フロイトに匹敵する影響を残しながら、フロイトとは対照的に、皮肉にも墓碑銘のとおりその名が忘却されたクレペリン。その「発明」は葛藤と煩悶のうちになされ、晩年には、それまでとまったく違う方向を模索しさえしていた。
またドイツ留学中の斎藤茂吉を冷たくあしらい傷つけたクレペリンは、ユーモアを介さない陰鬱な人物として語られてきた一方、その自伝をひもとけば、少年のような純粋さと情熱も秘めている。
今や自明のもののように扱われている診断基準は、一体どのような人間がいかにして創り上げたものなのか。クレペリンの半生をたどりつつ描かれる、知られざる精神医学誕生の歴史。

【本書の内容】
はじめに――なぜ、いま、クレペリンを問うのか

第1章 誕生と助走(一八五六―九一年)
第2章 創造と危機(一八九一―一九一五年)
第3章 静かなる浸透(一九一五―二六年)
第4章 〈精神医学〉制作あるいは〈精神病〉発明の途上にて(一九二六―八〇年)
おわりに

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Minamihama

11
今後の課題2023/11/08

たっきー

11
フロイトと同じ年(1856年)に生まれたクレペリン。同じ精神医学で大きな影響を残しながらも、クレペリンのことはあまり知らないなと思い読んでみた。クレペリンの人物像が描かれていて、打ち解けられる数少ない人以外にはかなり気難しい人物だったのだろう(そういう人だからこそ精神医学に関心が向いたのかもしれないが)。フロイトを「無意識の発見者」、クレペリンを「分裂病の発明者」として書き分けられているが、クレペリンがそうされているのは人為的な概念の媒介によって、「早発性痴呆(精神分裂病)」と呼ばれる精神病が発明→2023/09/22

ぼっせぃー

1
『カント=ラプラスの「星雲」説について論を展開する野望を抱いて、兄やその友人たちに冷やかされた一五歳頃のエミール少年のエピソードについては、既に幾度か言及してきた。さらに症候群という熱気充満したカオスと「星雲」イメージとの類似性にも触れてきた。「症候群=星雲」を未熟・未分化かつ原始的で強靭な存在と言ってよいならば、「疾患単位=惑星系」は成熟し構造化された(冷たく硬い)秩序体だと比喩的に想定されてよいだろう』この下りなど同人誌というか夢小説というか……。業績の評価と同じ位に人格の擁護が主眼という不思議な本。2025/03/09

遊動する旧石器人

1
2023年8月8日第1刷発行。精神医学の世界で多大な影響を及ぼしながらも忘却されたエミール・クレペリンを掘り起こした1冊。クレペリン伝記とも言える1冊だが、文章が冗長で、カッコによる挿入も多く、スムーズにお話が展開されないため、読みにくい1冊である。講談社現代新書100のようなコンパクトに纏められたものを切望する。本書はあくまで、忘却されたクレペリンを再び表舞台に出して評価していくための準備本的な役割で、今後クレペリン論が展開されていくだろうことは想定される。その時、忘却された理由もまた明らかとなるか。2023/10/19

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