内容説明
大学職員は「年収一千万円以上で仕事も楽勝」と噂の人気職だが、はたして真相は? 大企業と似たような仕事内容がある一方、オーナー一族のワンマン経営で、ブラック職場の例もある。国公私立でもまた事情は千差万別。私立大学の元職員である二人の著者が、学生や外部からは見えにくい組織のピンキリな舞台裏を明かしつつ、18歳人口が激減する業界の将来不安、職員が抱えがちなキャリアの悩み、教員との微妙な関係性、そして高度専門職としてのモデルや熱い想いを伝える。それでも大学職員になりたい人、続けていきたい人、辞めようかどうか迷っている職員のための必読書。
まえがき――ネット上の噂は本当か?
1章 仕事はピンキリ、大学職員の虚々実々
2章 この先「食いっぱぐれない」仕事か?――18歳人口減少の激流の中で
3章 「大学業界らしさ」の良さ、悩ましさ
4章 それでも大学職員になりたい人へ
5章 すごい職員はどこがすごいのか?
【参考資料】大学職員のお仕事カタログ
あとがき――大学を動かすキーパーソンへ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ねこ
116
大学職員と聞いて私は教授とは違った角度から若者への支援に尽力される尊敬すべき人のイメージがあります。本書を読んで大方間違ってはいないと理解しましたが、企業と違う悩みや葛藤も多くの職員の方が抱えている事も理解しました。日本の若者の減少、国際競争力の著しい低下など厳しい状態である現状の打開策は政府によるテコ入れが必要だと感じます。教育を高齢者にも広く門扉を開きネット大学だけでなくリアルに多くの魅力ある学科の創設。…保守的な大学が大半の日本ではできないかな?後、大学進学者の8人に1人は中退しているとは驚きました2023/08/25
ま
22
ヒエラルキーや職分、職員のマインドなど自分の職場と似たところがあまりにも多く面白かった。前例のないことに消極的な風土があるようだが、社会のあり方に即して大学も変わらなければならない。大学職員は日本の未来を支える仕事なのだ。2024/09/26
おいしゃん
20
大学職員というと、ルーチンワーク、割とラクで高給、退屈、というイメージが僅かにあったが、想像以上に職務が多岐に渡り、民間同等かそれ以上にやり甲斐もありそうと感じた。2023/12/29
双海(ふたみ)
17
私が就活をしていたころ、大学職員は「年収1千万円以上で仕事も楽勝」という情報をよく目にしていた。私は一時期、研究職を目指していたくらい大学が好きだったので迷うことなく大学に就職。実際かなりの倍率だった。上場企業の内定を蹴って大学を選ぶ人もけっこういたくらい。私は学校法人間の転職も経験した。ただし、ネット上の情報が誤っていることもあるのでご注意を。学び続ける人が向いているのでは、と思う。2023/09/04
タナカとダイアローグ
13
倉部さんと同じく転職して関東の大学勤務。教学と法人両方できたこと、全体感が何となくわかる部署に居たことから、真摯な記述であると感じた。問題意識の根本は楽な仕事・人気職とされていることでフリーライダーが集まってきてしまうこと。局地的に人気が煽られているというか、当事者が少なくて特殊だから好き勝手書いている人がいるのだろうと。学問の裾野を広げ、学生を育てることを目的とした大学人でありたいし、志を同じくする人が増えてほしい。明確な目的を持った本だった。中にいると気が付かないことを外から観察してくれる有り難さ。2023/07/13