内容説明
専業主婦の涼子は、冷え切った夫との関係や言うことをきかない二人の子どもとの生活に、疲労感と閉塞感を覚えていた。45歳の誕生日を明日に控えた深夜、書籍編集者の夫に女性から一本の電話がかかってきた。「小説家の重原宗助先生からの仕事が入った」と家を出てしまう夫。我慢の限界に達した涼子は、家を飛び出す……。涼子が向かった先は、夫の愛人ホステスが勤めるクラブの入ったビル。1階のBAR「マーキームーン」に入ると、文学好きの美しいママが話しかけてくる。性別は男だというママは、涼子の悩みや素性を鋭い洞察力と推理力で言い当ててしまう。涼子がママに夫の愚痴を話すと、唯一の「良い思い出」である大学時代の彼氏・カズトにもう一度会おうと、旅に出ることになる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
323
秋吉 理香子は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。著者と言えばイヤミスですが、本書は新境地、恋の街、大阪文豪オタク・ミステリの感動作でした。私は、「黒蜥蜴」の舞台を、東京だとばかり思っていました🦎🦎🦎 https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000379659 本書で、8月は読了です。2023/08/31
いつでも母さん
186
軽い··軽すぎる··正直そんな読了直後の思いだ。この作品の前に読んだ作品が重かったからか?(汗)家を出たまでは不安が先に立ったが、バーのママ·ルナと出会い行動を共にするようになってからは、これは落ち着くところに落ち着くのだろうなぁと想像してしまった。各章のタイトルを有名小説に重ねママの推理で話はどんどん進むのだが、結果ママの存在が哀しくて切なくもあるハッピーエンド作品。2023/09/05
モルク
155
高校生の娘と中学生の息子を持つ専業主婦涼子。子供たちは母親がすべてやるのを当たり前に思い、夫との間も冷えきっていた。不審な行動をとる夫に夫の愛人が勤めるクラブに乗り込もうとするが、そのビルの一階にあるバーに入りそこのおかまママルナと意気投合、おりしも涼子の45才の誕生日、涼子の忘れられない元彼を探しに大阪へ一緒にいくこととなる。文学好きなママと文学縁の地を廻り遭遇する事件を文学の知識で解決。ママの言葉に救われまたその苦労を知る。とても盛りだくさんだがあっという間に読めた。そしてママの正体…カッコいい2023/10/16
タックン
138
読みやすくて面白くてい一気読みだった。 平凡な主婦が旦那さんの浮気疑惑で辛くなって、急に学生時代に理不尽に別れた元彼を思い出して、ひょんなことで知り合ったバーのママと大阪まで元彼に会いに行く話。 ママさんはなんとジェンダーで作家志望で大の小説好き。 文豪の史跡巡りしながら(佐藤)って自営業を探していくと、なぜかいろんな事件に遭遇し、ホームズ・ワトソンばりに見事に事件を解決して。 あれー元彼は?って思ってたら最後にこんな悲しいそして感動の結末が!!ほんと涙腺がやられた。 そしてママの正体もやられた!上手い。2023/10/08
のりすけ
134
「そないうまい事話が転がりまっかいな」なんて読んでたけど、イヤミスじゃなくても良かった。子供たちにイラァっと来ちゃった。こんな立派な主婦してるママ上にお前らなんて態度か。初恋の人、ママの心中、ダーリン、そして大阪。大阪は文豪の町だったのか、♪大阪大阪~今日も笑ろうてる~のイメージが突然文化のかほりに包まれたやん。2024/04/01