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内容説明
社会正義はめんどくさい。
人種や性別、性的指向などによらず、誰もが「自分らしく」生きられる社会は素晴らしい。だが、光が強ければ強いほど、影もまた濃くなる。「誰もが自分らしく生きられる社会」の実現を目指す「社会正義(ソーシャルジャスティス)」の運動は、キャンセルカルチャーという異形のものへと変貌していき、今日もSNSでは終わりのない罵詈雑言の応酬が続いている──。わたしたちは天国(ユートピア)と地獄(ディストピア)が一体となったこの「ユーディストピア」をどう生き延びればよいのか。ベストセラー作家の書き下ろし最新作。
(底本 2023年8月配信作品)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
旅するランナー
206
誰でも自分らしく生きられる社会の中で生まれた、社会正義が行き過ぎた形態キャンセルカルチャー。私たちはステイタスの高い者に憧れながら、ステイタスの高い者をひきずり下ろそうとし、他者からの批判を過剰に気にして身を守りながら、ライバルの足を引っ張って、自分のステイタスを少しでも高めようとあがいている。この80億人のライバルがいる終わりなき戦い。そんな天国と地獄が一体となったユーディストピアでの最も現実的な対処法は、地雷原に近づくな!2024/05/05
ehirano1
164
「キャンセルカルチャー」ね、なるほど。要は世の中は表裏一体なので、そのバランサーの1つとして「キャンセルカルチャー」があるのではないかと思いました。であれば「キャンセルカルチャー」を否定しようとしたり無くしたりしようとしても無理なので、受け入れるしかないです。但し、真正面から受け入れるとダメージが大きいので、受け入れたふりをするってのはどうでしょうか?と思いました。2023/12/03
absinthe
146
キャンセルカルチャー、マイクロアグレッション。少しむっとしたという理由で行われる宗教裁判並みの理不尽なつるし上げ。LGBT差別をなくすという大義名分のもと行われる女性差別。リベラルな人々が信じ込む自分らしく生きられる社会。そんな大義名分のもと社会は反対に進み、それがやがて地雷だらけの恐ろしい世界に変貌していく。ピンカーやハイトのようなリベラルな学者から見ても異常と言わしめるリベラルに行き過ぎた人々の恐怖を描く。2024/03/16
ケイ
106
小山田圭吾氏の話は、どうしても詭弁だろう。発言した彼だけでなく、編集者らの罪も重い。しかし、あの酷いいじめと同じ内容をつい先日、アリス・マンローの小説で読んだ。カナダの田舎町で、知的障害者の女のコが受けた性的被害だ。男として生まれただけで加害者となりやすいというのは、確かにそうかもしれない。脱北者が行き着いたアメリカの東海岸の大学で体験したという表現方法にも驚く―sheやheではなくtheyを三人称単数で使うよう推奨されること。safe placeについては、先日東大の駒場キャンパスの話を聞いたところだ。2024/07/27
ムーミン
99
社会の生きる人が、情報が瞬時に自由に手に入るようになり、人と比較をしながら、損得を考え、少しでも人よりもいい思いをしたいと、頭ばかりを使って生きるようになってしまった結果、行き着いた先が今の状況。そんなふうに思えてしまいました。2023/09/30




