内容説明
日露戦争で日本が勝ち取り、満洲国の母体となった【関東州】と【満鉄附属地】。あたかも「蛇」のように満洲国の心臓部に食い込み、脱皮を繰り返すその土地は、しかし満洲国とは全く異なる歴史を歩んできたのである。
最新の研究成果と徹底した現地取材から近代日本史の真実を読み解く―
日・中・露による相剋の歴史を今、見つめなおすための一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鯖
26
満州国を産んだ蛇、満鉄だよなあと思ったらそうだった。「満鉄付属地は、関東州を刀の柄に例えればそこから沿線に沿って満州心臓部の長春まで伸びた刃で、都市部は蛇が卵を呑んだようにふくらんでいた」島と違って大陸に勢力広げるにはとっかかりになるものがないと無理で、あっても無理なやつ。満州某重大事件こと張作霖爆殺事件、なしてわざわざ爆殺したんやってウン十年謎なんですけど、特に答えはなかった。満鉄線と京奉線のクロスガード地点で、下を走る京奉線に爆薬をセットしたことは分かった。…なして普通に天誅しちゃいけないんじゃろ。2024/01/06
ちいだ
1
テーマに興味。「満州国の誕生とは、満鉄附属地の外延的拡大であった。満鉄附属地の附属地外の満州国への外延的拡大過程が、そのまま満鉄附属地の自己否定過程でもあったのである」に集約されているか。ただ関東州と満州国の相違認識が欠落していたのは在満日本人の行、ソが鉄路沿に南下、旅順大連を占領云々と、国府下の葫蘆島で最初に引揚が開始された話がリンクしない。ソは関東州の施設的価値を求め、引揚とか人道的?行動に無頓着だったという事では? 引揚たくて葫蘆島より大連に行った日本人が殊更国際感覚に疎かったようには思いづらい..2024/01/01