内容説明
女中たちから料理を教わる台所が隠れ家だった娘時代、4人の子育てに追われる日々、ギニア、ガーナ、セネガルで出会ったアフリカの味、作家として名を成し、世界中を飛び回る日々に知った東京のヤキトリ、マグレブのタジン鍋。
料理なんて召使いのすること──。そんな母の言葉への反発が、文学への情熱と同じくらい熱い、料理への愛を気づかせてくれた──。
2018年ノーベル文学賞に替わるニュー・アカデミー賞を受賞した世界的黒人女性作家の最後の自伝的回想録。
目次
プロローグ
1 修行の時代
2 マフェのいろいろなバリエーション
3 とにかく何かを始めねば
4 エスノ・キュイジーヌ
5 スクレ・サレの勝利
6 ダルはダル
7 アメリカを手に入れたい
8 東京の味
9 クーバ・リブレ
10 乳と蜜の国
11 ノー・ウーマン、ノー・クライ
12 神よ、アフリカに祝福を
13 人喰いか否か、それが問題だ
14 ヴァンパイアたちの宴
15 寝袋背負って放浪しよう
16 ソウルフード
17 さらばスカーフ、さらばマドラス
18 夢の旅、旅の夢
19 ウェサン島への航海
20 結びに代えて
訳者あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たまきら
40
書評を読んで。目の前に著者がいて、文句を言ったり料理に感動したりしているのが見えるような、感覚的につながれるような表現は久しぶりです。母国であるグアドループ、アフリカ、アフリカンアメリカン…どの文壇にも、受け入れられなかったという彼女。裕福な家庭で育ち、白人の夫を持った教養ある黒人女性という「アイデンティティ」のせいだったのでしょうか。幼少期、彼女の創作料理を否定する愛する人々の思い出。痛烈なインドでの体験。まるで私が体験したかのような気分の読後感に、体が驚いている。素晴らしい読書体験でした。2025/05/17
tom
22
書名も表紙のポートレートも魅力的。本屋にはめったに行かないのに、行くたびに目に入る。でも、著者の名前も作品も知らない。気になって仕方ないので図書館に注文。著者はフランスの海外県グアドループ、カリブ海の群島出身のクレオール。有名な小説家らしい。この本は、著者の人生の流れに併せて食べ物が登場する。でも、知らない名前ばかりで、どんな味なのかすらイメージできない。サツマイモがしばしば出て来るのが不思議。若いときから老いさらばえるまでの人生は波乱ばかり。なにやらしみじみした気分で読了。彼女の小説を読まなきゃと思う。2024/01/06
みゃんぱ
5
料理をテーマにしたエッセイは、飽きてしまうかと危惧していたけれど一つ一つの章が美味しい料理のように読み応えがあり飽きずに最後まで読んだ。前半は、彼女が作家として身を立てるまでどんな出会いと影響と衝突があったのかということが書いてあるのを特に興味深く読んだ。 後半以降、彼女の作家としての地位が安定してからは、大体どっかに招かれて、そこで講演して、美味いものと出会って、というお決まりの流れだったが、愛情に溢れた料理と宴席の様子を想像するだけでページを捲れた。2024/04/14
本の紙魚
3
読み応えばっちり、濃厚な人生と料理の関りが堪能できる一冊だ。マリ―ズ・コンデもグアドループも知らなかったのに、読み終わるころには彼女のファンになってしまう。故郷で人と料理との関り、パリに出てきてから、結婚と執筆の開始と離婚と…。アメリカはでアフリカ系の人からは排除され、インドでは白人の夫の横にいるだけで現地人に大笑いされる。アイデンティがどこにあるかをずっと悩みながらも突き進んでいくところはいかにもフランス的だと思ってしまう。日本料理についても触れられていて「唯一アレンジを考えなかった」という点が面白い。2024/11/27
PukaPuka
2
50を過ぎて今も昔も人生はうまくいかないと、しばしば苦しむが、そんな時この本は何か、一つの人生のレシピ(などと評したら作家に失笑されるだろうけど)、しかも複雑で、おいしさの中に突然の凄まじい不味さを見出したり、その逆だったりするものを、章ごとに違う未知の料理を味わうように、楽しめます。若い人が読むと、どういう風に受け取るのかも、興味深いです。2024/11/19
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