文学を〈凝視する〉

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文学を〈凝視する〉

  • 著者名:阿部公彦
  • 価格 ¥3,190(本体¥2,900)
  • 岩波書店(2023/08発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
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  • ISBN:9784000246743

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内容説明

「じっと眺めていると,何だか違った様な気がする」(夏目漱石『門』).街で,家で,文学を読むときもまた,〈見る〉ことをやめられない我々は,〈凝視する〉行為のなかで何を見いだすのか? 茨木のり子の詩,古井由吉と『炎のランナー』,村上春樹と選挙──そこに潜む問題とは? 新しい知の可能性に迫る,斬新な文学論!

目次

はじめに 見ることをめぐる?変な話”
第1章 繰り返す 茨木のり子「わたしが一番きれいだったとき」
第2章 目を凝らす ハンス・ホルバイン『大使たち』とハワード・ホジキンのストローク
第3章 スローモーションにする 『炎のランナー』と古井由吉
第4章 注意散漫となる 太宰治「トカトントン」と「富嶽百景」
第5章 「一」になる 村上春樹と「英語青年」と選挙
第6章 声を見る I・A・リチャーズとエンプソンと批評の時代
第7章 沈黙を聞く ワーズワスと萩原朔太郎
第8章 批評する 小林秀雄と柄谷行人
第9章 絵を動かす マーク・ロスコの文法
第10章 勢いをころす 太宰治「如是我聞」と志賀直哉のリズム
第11章 見ようとせずに見る 志賀とバルトとモランディの秘術
第12章 錯覚する 夏目漱石『文鳥』『夢十夜』とフラクタル
第13章 甘える 通俗小説と純文学と大江健三郎『水死』
第14章 誘導する 松本清張『点と線』とカーヴァー「大聖堂」とあみだくじ
第15章 文学がわからない デューラー『メランコリア』と西脇順三郎
おわりに 凝視から逃れる

文献
図版出典

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

じめる

3
<凝視>とは近代の社会制度が生み出した、「見えないものを見る」ためより見ようとする行為のことである。人間はものを見ることが好きだ。そしてものをより見るためにときどき<凝視>をする。しかしその結果、より正しく、見ることができるのだろうか。そもそも見れば見るほど、分からなくなってしまうものではないのだろうか。文学という制度が近代で特権化されることができたのはあくまで「読む」という行為につきまとう「見る」ということがあったから、<凝視>というイデオロギーがあったからに他ならないのだ。2014/03/16

タオルケット

0
杳子、数の不均衡、志賀直哉と太宰治、、、「読む」という行為を中心に、それらが連なって行く様は見事で、おわりに では胸が熱くなった。序盤で諦めずに読み進めてよかった。読み終わった後、「読む」ことに対しての功徳が少し備わったような気にさせてくれた。2014/10/17

ゆうむ

0
筆者は志賀直哉の文章を読み進めてもスピードがあがらないのは何故か考え、マーク・ロスコの絵や柄谷行人の批評に詩を見出す。その丁寧かつ大胆な分析にハッとすることの連続で、もうとにかく面白い。2017/11/04

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