内容説明
AIを搭載したロボットのクララは、病弱な少女と友情を育んでゆく。愛とは、知性とは、家族とは? 生きることの意味を問う感動作
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ねこ
147
近未来、子どもの友達になるAF(人工親友)を裕福な家庭では買う時代のお話。そのAFであるクララ視点で全てが綴られています。感情があり観察が得意で言語対応能力、状況判断が非常に優秀で常に学習し、主人のジョジーに献身的に尽くしています。物語では富める者と持たざる者の溝、人間とAFのもっと大きな溝。そして心と身体の置き換えが不可能である象徴が幾つもありました。AFによる信仰にも驚きました。少し前に母親のVF(バーチャルフィギュア)を作る「本心」を読みましたがどちらも人は最終的にはAIを否定してしまう。悲しいね。2024/03/21
夜長月🌙@5/19文学フリマQ38
83
登場人物の誰よりも人間でないクララに感情移入してしまいました。邪心がなく純粋なクララは人の汚れた部分を取り除いた存在かのようです。邪心がないと書いてしまいましたがクララは心を持っているのでしょうか。カズオ・イシグロさんの故意に細部の設定を書き込み過ぎない表現も深みがあります。2024/01/20
はっせー
81
AIが登場する小説が読みたい人や海外文学が好きな人に読んで欲しい本になっている!カズオイシグロさんはこの本が初読みであった。読み終わって思ったことはなんて温かい本なんだ!ということ。そしてカズオイシグロさんの本を読み続けてみたいということであった!AIロボットからの目線が語られる物語は珍しい。読んでいて少しずつロボットのクララが成長している様子がわかると思う。クララと持ち主のジョジーとの友情物語。優しくもありでも厳しくもある世界感。思い出しても感動出来る!2024/01/31
あきぽん
73
私はロボットと暮らしています。ロボットから見たら人間の世界はどうなのでしょう?イシグロ氏だからこそ書けた、ロボット一人称の世界。あの猫一人称の名作に匹敵する、「わたしを離さないで」にも似た、愛に満ちた傑作。2024/02/07
優希
71
文庫で再読です。AI・クララの目を通じて社会を描いていまるのが面白いところでした。ジョジーの友人となるために買いどられ、2人は友情を育んでいく。しかし、家庭には秘密があるようですね。社会における根源的な問題に迫っていくのと同時に物語に引き込まれていきました。ノーベル賞受賞後第1作に相応しい作品に思えます。2023/09/01