日本経済新聞出版<br> ふりさけ見れば 上

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日本経済新聞出版
ふりさけ見れば 上

  • 著者名:安部龍太郎【著】
  • 価格 ¥2,200(本体¥2,000)
  • 日経BP(2023/07発売)
  • ポイント 20pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784296117482

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内容説明

遣唐使は日本の朝廷からどのような命を受けて派遣され、中国で何をしていたのか――
2012年の直木賞受賞作『等伯』に続く、安部龍太郎氏の日本経済新聞連載小説は、対外的に「国家」としての土台を築き上げた8世紀・奈良時代の日本を、ユーラシア大陸・東アジアの中に位置づけて描いたスケールの大きな作品。安部氏の新たな代表作といっても過言ではない。
日本とユーラシアを結びつけるのは、唐で科挙に合格し玄宗皇帝の側近にまで出世したたぐいまれなる日本人・阿倍仲麻呂、そして仲麻呂とともに唐に渡り当時の大唐帝国のすぐれた文化・政治制度を内政に移植した学者にして政治家の吉備真備。唐からは、玄宗皇帝と楊貴妃、安史の乱を起こした安禄山、大詩人の李白や杜甫など、日本でも多くの逸話が知られる人物が続々と登場する。ついに帰国できなかった阿倍仲麻呂が日本の朝廷から帯びていた重大な密命とははたして……
当時、吉備真備らが持ち込み移植した律令制度はその後いまに続く日本の法律の中に色濃く残る。日本の皇室の儀礼にもこの頃移植したものが少なからず存在し、鑑真和上の招聘による仏教の興隆など、「国家」としての土台はまさにこの頃に築かれたものである。チベット、新疆ウイグルなどとの中国の緊張関係は1300年前から連綿と存在していた。日本と中国の関係、日本と朝鮮半島の関係、中国と朝鮮半島の関係は古代から幾多の戦乱を経て、連綿と今に続くものである。歴史時代区分としては日本の古代を描いた小説ではあるが、ここが「東アジアの中の日本」の視座の原点かもしれない。

目次

第一章 遣唐使来る
第二章 三人の運命
第三章 帰国と残留
第四章 それぞれの道
第五章 運命の岐路
第六章 出世の階段

(以下、下巻)
第七章 宿敵仲麻呂
第八章 明日への忍従
第九章 盟友再会
第十章 遠い祖国
第十一章 それぞれの道
第十二章 琴弾き岩

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

starbro

172
安部 龍太郎は、新作中心に読んでいる作家です。 本書は、遣唐使歴史大作、上巻は一気読みです。続いて下巻へ。トータルの感想は下巻読了後に。 https://bookplus.nikkei.com/atcl/catalog/23/06/08/00859/2023/08/04

パトラッシュ

131
阿倍仲麻呂がスパイとして唐の朝廷に入り、任務を果たすため激烈な権力闘争に身を投じる。唐朝も内部はシロアリに蝕まれ、玄宗皇帝は楊貴妃との情欲に溺れ政治を顧みない。友を殺され、妻子と離別を強要されるなどの犠牲を強いられながら、苦闘する仲麻呂の姿は鮮烈だ。共に学んだ吉備真備は先に帰国したが、藤原氏や伝染病に阻まれて思うように働けない。安史の乱へ突き進む激動の時代に、愛国者であり誠実な知識人である2人はいかに生きるべきかを必死に模索し続ける。歴史小説と政治小説の組み合わせた奔流の如き大ドラマに圧倒される。(続く)2023/10/07

とん大西

103
古今東西、人のいとなみは変わらない。千年以上へだてた古代も激アツだ。遣唐使の留学生として海を渡り16年。今や有能官吏として唐宮廷に名をはせる阿倍仲麻呂。生来の才と優しく生真面目な人柄。良妻賢母の若晴との家庭はこのうえなく温く。が、中華の地で人生を謳歌する彼に近づいてきたタイムリミット…帰国。故国日本は未だ東夷の域を出ない後進国。帝のため、愛する妻子のため。公と私の間で心揺れ。そして、やはり巻き込まれてしまう権力闘争。それは組織内の、国家間の。否応なしに、あぁ否応なしに。何処に向かう、仲麻呂。2024/02/12

さつき

77
遣唐留学生として科挙に合格し要職に就いた阿倍仲麻呂を主人公に、その盟友下道真備をもう一人の主役として描く。権謀うずまく宮廷を祖国日本からの密命を帯びて生きる事は至難のわざ。次々と本意ではない事を強いられる仲麻呂の姿は哀れで仕方ない。その一方で自らの力を発揮しようと素直に邁進する真備は見ていて清々しい。楊貴妃も登場し、高力士、李林甫の二人の権力者の間で無理難題を突きつけられる仲麻呂の運命はどうなるのか?下巻も楽しみです。2023/09/12

サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥

67
(2024-65)図書館本】「天の原ふりさけ見れば春日なる、三笠の山にいでし月かも」和歌などほとんど知らない私でも知っているこの短歌を詠んだ阿倍仲麻呂。遣唐使として唐に派遣され日本人でありながら難関の科挙にも合格したと言う俊英。彼が何故最後まで日本に帰らなかったのか?或いは帰れなかったのか?史実に基づいているとはいえど、この時代の記録は少なく色々と想像を働かせる事ができる。さて後半は?2024/05/12

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