内容説明
新薬登場を契機に「misfolding病」に注目が集まっています.本書は,根本治療法のカギを握る,異常タンパク質の凝集の過程,伝播・クリアランスのメカニズムから新薬・早期診断法開発のいまを1冊に網羅!
目次
【目次】
序
概論 タンパク質構造と凝集にもとづく神経変性疾患の新たな理解
第1章 タンパク質構造と病態
1.タンパク質構造異常の伝播
2.アミロイドの核形成過程の制御分子群
3.異常タンパク質伝播を司るメンブレントラフィック機構
4.ALS病態のカギを握る液-液相分離
5.神経変性疾患における異常蓄積タンパク質のクライオ電子顕微鏡による解析
6.高速原子間力顕微鏡によるアミロイド凝集の構造動態解析
第2章 凝集体を形成するタンパク質の最新トピック
1.バイオマーカーや疾患修飾療法の標的としてのAβ
2.タウタンパク質に関する新知見がもたらす新たな治療戦略
3.αシヌクレインの伝播経路 ―パーキンソン病を全身病ととらえる
4.TDP-43の凝集体形成機序と治療戦略
5.ポリグルタミンタンパク質の構造転移・凝集機序と毒性
第3章 凝集体の蓄積・クリアランスに関わる話題
1.アルツハイマー病におけるミクログリアの活性化とアミロイドβクリアランス
2.選択的オートファジーによるオルガネラ分解
3.脳の老廃物の処理機構:glymphatic systemとIPAD
4.神経変性疾患変異による線維凝集体形成の構造学的機構 ―low-complexityドメインの機能に与える影響
5.疾患修飾機構としてのタンパク質凝集に対する炎症応答
6.神経系エクソソームとグリア細胞制御 ―神経疾患との関連
7.アルツハイマー病の動物モデルの現状と今後の展望
8.iPS細胞技術を用いた神経変性疾患研究
第4章 治療法の現状と展望
1.ミスフォールディング病に対する抗体医薬の現状 ―Alzheimer病・Parkinson病を中心に
2.神経変性疾患を適応とする低分子化合物
3.神経変性疾患に対する核酸医薬
4.神経変性疾患に対する遺伝子治療の展望
5.アルツハイマー病に対する低出力パルス波超音波(LIPUS)治療の開発
第5章 コホート研究・先制医療
1.発症前段階を対象としたトライアルレディコホート研究
2.石川県における認知症疫学研究 ―石川健康長寿プロジェクトから見えた課題
3.ブレインバンク
4.血液バイオマーカーによる早期診断 ―アルツハイマー病を中心に
5.PETを用いた神経変性疾患の早期診断
索 引