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内容説明
「格差」とは何か? 世界的ベストセラー『21世紀の資本』著者による大注目作!
世界的ベストセラー『21世紀の資本』のトマ・ピケティが、「格差」について考察。
「r>g」の衝撃から10年。戦争、気候危機、経済不安などを受け、世界は”第二次ピケティ・ブーム”へ。
その最新思想エッセンスを、ピケティみずからコンパクトな一冊にまとめたのが本書である。
・「社会は平等に向かうべき」との思想はいつ始まったのか
・所得格差が最も少ない地域、最も多い地域は?
・「所得格差」と「資産格差」について
・累進課税制度の衝撃
・世界のスーパーリッチたちの巨額税金逃れ問題について
・ジェンダー格差をどう考えるか?
・環境問題の本質とは、「自然資本の破壊」である
・炭素排出制限量において、取り入れるべきアイデア
・「戦争や疫病が平等を生む」という定説は本当か
――「持続可能な格差水準」は、存在するのだろうか?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
31
トマ・ピケティによる国際比較と歴史の観点から「格差」について語った講演をまとめた一冊。社会は平等に向かうべきとの思想はいつ始まったのか、所得格差と資産格差の違いについて、累進課税や世界の資産家の巨額税金逃れについて、債務についてどう考えるべきか、ジェンダー格差をどう考えるか、自然資本の破壊、炭素排出制限量など、世界が直面する諸問題を取り上げていて、経済・財政・公的債務・富の再分配からの解決には様々な角度からの視点が求められていること、問題を丸投げしないことの重要性がとても分かりやすくまとめられていました。2023/08/02
道楽モン
19
ピケティの講演を書籍化したコンパクトな一冊なれど、データを駆使して不平等を顕在化させる姿勢は一貫しており、説得力は十分。世界的に既得権益により資本家が蔓延るのはマルクスの予言通りであるが、革命で劇的に改革することが解決策ではなく、漸進的に改革を進めた成功例が北欧であることが示されてはいる。ただし、その指数はまだまだ小さい。ピケティの提示を出発点として、教育による民主主義の獲得を目指し、結果的にシステムの根本を一新することがゴールなのだろう。月末発刊の『資本とイデオロギー』を待望している。2023/08/10
Mc6ρ助
16
『最後に一つ強調しておきたいのは、単に金銭的な再分配だけが福祉国家の仕事ではないということである。 福祉国家の発展過程では市場化から脱する動きを伴う。教育、健康・医療、年金、住宅、インフラといった分野で脱市場化がみられることは、経済というものが市場や資本主義の論理の外でも十分に運営できることを示している。(p84)』ピケティさんが進みすぎてるなんてことがないことを祈念する(コロナ禍のあとで健康保険の民営化を唱える財界人が時代遅れであることを)。でもピケティさん提唱の温暖化対策が無理ゲーに見えて困ったもの。2023/10/01
singoito2
9
読友さんきっかけ。ピケティはいつも読者に読みやすい本を書いてくれるので安心なのですが、本書もおもわずニンマリしてしまうような皮肉をきかせつつ2,3時間で読めるコンパクトな本。でも、図表やグラフを用いたバックデータがしっかりしていて説得力があるのもいつものピケティ節。「一国の経済活動のほぼ全部を脱市場化する」P85という、おそらくマルクス以上に過激な主張には深く共鳴しました。2024/04/12
coldsurgeon
9
ピケティが得意とする不平等、格差の問題を扱った講演集である。経済的格差は、それを無くそうとする試みはなされているのだろうが、結果としては表れていない。不平等というものが、生まれながらのものではないというデータを示している。資源国であるとかないとか、地理的な要因とかえはなく、社会システムの不備・不平等が大きな要因であるようだ。さらに環境破壊により生じている気候変動に目を向けても、二酸化炭素排出量は、資産上位10%層の排出が顕著であるとも示している。システムの大きな改革が必要だが、どの政府も腰が重い。2023/07/19