穏やかなゴースト 画家・中園孔二を追って

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穏やかなゴースト 画家・中園孔二を追って

  • 著者名:村岡俊也【著】
  • 価格 ¥3,630(本体¥3,300)
  • 新潮社(2023/08発売)
  • 天高し!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント25倍キャンペーン(~10/6)
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  • ISBN:9784103552918

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内容説明

高校二年の夏、中園は突如「絵が描きたい」と美大予備校に通い始める。東京藝大に進み、「今年は天才がいるよ」と在学時より注目され、卒業の翌年には著名ギャラリーで個展を開催。将来を嘱望されながら二〇一五年、二十五歳で急逝……両親、友人、恋人たちへの丹念な取材と書き残された百五十冊ものノートなどから読み解く本格評伝。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kaoru

70
夭折した天才画家・中園孔二の生涯を友人が綴った評伝。バスケに熱中する高校生が不意に絵を描くことに目覚め、藝大で天分を開花させる。誰にでも好かれながら「生と死のギリギリの辺りを歩いていた」彼は野宿したり電車のトンネルにはいったりという行為を続けながら爆発的に創作に打ち込んだ。音楽を愛し思索をノートに綴った彼の言葉に打たれる。「絵は、自分自身の片方である」「絵画は性質的に、うそのつくことのできない、純度の高い”優しさ”である」彼の絵はときに不穏であり、生きることへの不安や哀しみが現れているように感じられる。2024/01/09

kawa

27
2015年、25歳で事故死した早熟の画家・中園孔二さんの評伝。短期間に550点以上もの作品を残したと言う。本書にも12点の作品が口絵紹介される。「ダイレクトに伝(わ)ってこない美術はすきじゃない コンセプトや美術的教養のようなものをふまえた上でしか理解できない美術って、ぼくの中ではなんか違う。」と言う中園氏。残念ながら感性鈍い私は、本書を読んで作品にさらに親近感。補助輪付き自転車で20キロ彼方のランド・タワーに一人でいってしまったという氏。天才となる人間の衝動は幼くても異次元ということだろうか。2024/02/23

チェアー

6
印象に残ったのは筆者の誠実さだ。決して自分を消しているわけではない。自分の出し方がまっとうで違和感がないのだ。関係者にじっと話を聞き、自分の中に取り込み、わからないことを分からないまま残しておく。これが本来のあるべき書き手なのだと感じた。 「いま」が永遠に続く。それを常に通過し続ける私が見る。それは羨ましくもあり、残酷なことだ。 2023/10/09

頭痛い子

6
普段全く美術に興味がないが、たまたまXで見かけた『顕神の夢・霊性の表現者』という企画展のチラシが目にとまり、片道2時間かけて観に行った。強烈な印象を打ち出していたチラシを描いた人が中園孔二という人と知り、享年25歳で夭逝した人だという。彼の絵は宮沢賢治、草間彌生、岡本太郎などと展示スペースが同じ処に飾られ、絵に一種の狂気があって、それを知りたくて本書を1週間のうちに2回も読んだ。冒頭の森氏だとか、その妻の愛のインスタとかがよく理解できなかったが、それ以外のとこは、彼の哲学的なとこを知れて良かった。宝物だ。2023/08/27

伏木

5
NHKの番組で中園を知った。久しぶりにどきどきした。 昔は現代美術をよく見に行った。 近代の造形表現は単に表面の問題と考えるのが主流だった。 支持体と表面。 小学生のころ、「何年生?」と聞かれるのが不思議だった。 「見ればわかるだろ」と思っていた。今は全くわからない。 画家は私たちの見えないものを見ている。 今この時代に、こんな天使のような純粋な人がいたのだ、これは誇張でも何でもない、人の言葉が伝えているのではない、事実がそれを証明している。2024/05/28

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