角川新書<br> 歴史・戦史・現代史 実証主義に依拠して

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角川新書
歴史・戦史・現代史 実証主義に依拠して

  • 著者名:大木毅【著者】
  • 価格 ¥1,012(本体¥920)
  • KADOKAWA(2023/07発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784040824642

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内容説明

戦乱の狂騒に抗す。
ウクライナ戦争、独ソ戦、太平洋戦争……。動乱の時代には俗説(フェイク)が跳梁跋扈する。
理性を保ち、史実と向き合う術を現代史家が問う!

軍事・戦争はファンタジーではない。
日本では報じられなかったウクライナ侵略戦争の「作戦」分析、『独ソ戦』で書ききれなかった挿話、教訓戦史への強い警鐘に歴史修正主義の否定、そして珠玉のブックガイドを収録した論考集。
俗説が蔓延していた戦史・軍事史の分野において、最新研究をもとに新書を著し、歴史修正主義に反証してきた著者が「史実」との向き合い方を問う。
戦争の時代に理性を保ち続けるために――。

■戦争を拒否、もしくは回避するためにも戦争を知らなければならない
■軍事は理屈で進むが、戦争は理屈では動かない
■軍事理論を恣意的に引いてきて、一見もっともらしい主張をなすことは、かえって事態の本質を誤認させる可能性が大きい
■歴史の興趣は、醒めた史料批判にもとづく事実、「つまらなさ」の向こう側にしかない
■歴史「に」学ぶには、歴史「を」学ばなければならない
■イデオロギーによる戦争指導は、妥協による和平締結の可能性を奪い、敵国国民の物理的な殲滅を求める絶滅戦争に行きつく傾向がある
■戦争、とりわけ総力戦は、体制の「負荷試験」である。われわれ――日本を含む自由主義諸国もまた、ウクライナを支援し続けられるかどうかという「負荷試験」に参加しているのである

【目次】
まえがき
第一章 「ウクライナ侵略戦争」考察
第二章 「独ソ戦」再考
第三章 軍事史研究の現状
第四章 歴史修正主義への反証
第五章 碩学との出会い
あとがき
初出一覧

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

skunk_c

65
『独ソ戦』でブレイクした著者がこの数年間に書いた書評や雑誌記事などをまとめたもの。テーマ別に分かれており、特に書評や文庫化に際しての解説は、対象に対する愛情すら感じる文章で、買って読みたくなったものも多い。歴史に対する姿勢についても、例えば百田尚樹や井沢元彦をバッサリと切り捨てる。ただし本郷和人もあわせて切るが、これは井沢氏との対談本の発言か何かに反応したもので、ちゃんと読んでないな。例えば本郷の戦勝の定義「目的を達成したか」は著者のそれときわめて近いのだが。ウクライナ戦争についての解説もなかなかだった。2023/07/13

禿童子

35
著者は『独ソ戦』で有名になった人というイメージ。ロシアのウクライナ侵攻を背景として改めて注目されるようになった経緯や、日本の言論空間の中での「軍事」の取り上げ方の歪みなど、インタビューや他の本の解説やレビューなど雑多な文章をまとめた本。印象に残ったのは、物量的に圧倒的なロシア軍に対してウクライナ軍が善戦している理由に、ロ軍が命令事項を詳細に限定する「ディーティルドコマンド」なのに対して、ウ軍は欧米流の現場指揮官に裁量権を与えて臨機応変に対処させる「ミッションコマンド」を採用していることを挙げている点。2024/08/16

CTC

20
7月の角川新書新刊。著者大木毅氏は立大で独現代史を専攻、中公の『歴史と人物』で横山恵一氏の助手を務めていた頃に半藤さんや秦郁彦さんの薫陶を受けている。立大院時代には加藤陽子氏らと“第二次大戦史研究会”を催した事もあったと。ボン大留学を経て千葉大他の非常勤講師を務めるが、中公から声がかかり“赤城毅”名義で50点ほど小説を書いた。軍事関係の執筆は2010年からという。19年の『独ソ戦』は刊行直後から好著とされたが、ウクライナ戦争で更に評価が高まった。その時期の雑誌連載や書評などを集めたのが本書。2023/08/06

メロン

17
大きな話題を読んだ『独ソ戦』の著者大木氏の新書である。今までの解説や雑誌に掲載された大木氏の論考をまとめたものであるが、タイトルの通り長年小説家・戦史研究者としてのスタイルと主張を読み取ることができる。 読んで思うのは、戦史があまりにもアカデミズムの中で排除されてきたが故の誤謬は戦争がありありと現実のものと突きつけられた日本人が知るべき知識ベースが非常に脆いこと。それは歴史修正主義の跋扈を許している事が証左しているようにも思う。戦争を避けるために戦争を知らなくてはいけない。2023/12/17

ピオリーヌ

16
第一章は「『ウクライナ侵略戦争』考察」だが、まえがきが面白い。「日本では、この種の、作戦次元と呼ばれるレベルでの考察が不足しているためか、いわば隣接分野を研究しているにすぎない筆者にまでも解説が求められた。日本が抱える特殊な事情がなせるわざといえる。」また別の箇所も目を引く。「戦士・軍事史や用兵思想の知識、敷衍するならば、軍事の常識にもとづいて紛争を分析するという視点は、日本のジャーナリズムや学界に著しく欠落している」2024/01/17

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