ラジオと戦争 放送人たちの「報国」

個数:1
紙書籍版価格
¥3,960
  • 電子書籍
  • Reader

ラジオと戦争 放送人たちの「報国」

  • ISBN:9784140819401

ファイル: /

内容説明

1925 年に登場し、瞬く間に時代の寵児となったラジオ。そのラジオ放送に携わった人々は、ラジオの成長と軌を一にするかのように拡大した「戦争」をどう捉え、どう報じたのか、あるいは報じなかったのか。また、どう自らを鼓舞し、あるいは納得させてきたのか。そして敗戦後はどう変わり、あるいは変わらなかったのか――。
上記をテーマに、NHK放送文化研究所の月刊誌「放送研究と調査」は、2017 年8 月号~21 年12 月号で、5 年にわたり「戦争とラジオ」を掲載した。その連載を単行本化したものが本書である。筆者の大森淳郎はNHKのドキュメンタリー番組のディレクターとして、戦争中のラジオについても長年取材を続けたのち、2016年~22年12月まで同研究所の特任研究員を務めた。

本書では、記者・ディレクター・アナウンサー…といった「放送人」たちが遺した証言と記録、NHKにある稀少な音源・資料などを渉猟し、丁寧にたどり、検証しながら、自省と内省の視点を欠くことなく多面的に「戦争とラジオ」の関係を追う。
ひいては、非常時において、メディアに携わる者がどのように思考・模索し、振る舞うべきなのかをも照射したノンフィクション。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

94
第46回(2024年)講談社ノンフィクション賞。 戦時下のラジオ放送を検証した作品である。 国民を戦争に動員する上で 大きな役割を担ったラジオ放送を検証する…戦前から戦中にかけて、ラジオというものが どう変節していったのか、骨太に描かれる。ある意図を持って、 メディアがプロパガンダとして使われる怖さを 丹念に描いた 労作だった。2025/02/16

fwhd8325

63
このボリュームに、読むことを躊躇していましたが、やはりこのテーマは外すことができませんでした。朝ドラの「花子とアン」で村岡花子さんが戦争に加担していたと思われるシーンがありましたが、ある意味児だの風潮から仕方なかったと思っています。公共放送でありながら、国に、軍部に加担せざるを得なかった時代。著書でも語られているけれど、NHKは何を学んだのだろう。戦争への加担が危ぶまれる今、もう一度、NHKはこの戦争を教訓としなければならないはずです。2024/08/12

TATA

37
日本のラジオ放送が始まったのは1925年、まだ放送人としての役割も矜持も無かった頃、程なく始まる日中戦争。メディアはどのように戦争を伝えたのか、放送に携わる人たちの想いは揺れ動く、時には変節としか取れない行動さえも。そして敗戦、GHQによる占領期。激動の時代を経てメディアはいかにあるべきかということが見定まっていく。次の時代、メディアはどのように何を伝えるのか、先人たちの苦悩を読んで改めて考えてみる。2023/09/02

スー

13
【図書館本】1925年の開局から1945年の敗戦に至るまで、日本放送協会が戦争といかに向き合ってきたかを考察。録音技術の誕生と共に生まれた番組構成という考え方や「淡々調」「雄叫び調」に見る放送員の技術論等「政府のチンドン屋」として、いかにして聴取者を戦争に駆り立てていったのかが詳述される。一方、そんなスタンスに反旗を翻すべく立ち上がった人々、それでも時代の波に飲み込まれ無意識のうちに戦争報道に荷担してしまう人々の様子も印象的。そして製作者の意図によりひとつの事実から幾つもの解釈が生まれることの恐さを再認識2023/09/22

どら猫さとっち

11
第二次世界大戦下の日本は、どのように戦争を報じていたか。何を伝えて、何を伝えなかったか。膨大な資料と当時放送に携わった人たちの証言をもとにした、畢生のノンフィクション大作。本書は報道とは何かを、読む人の心に訴える。そして、彼らの行持に心を熱くする。今報道の在り方が問題視されているなかで、本書はその手がかりを見い出す。分厚い本だが、根気よく読む価値は大きい。2024/08/17

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/21263728
  • ご注意事項

最近チェックした商品