内容説明
昭和7年3月、満州国建国を契機に生まれた満蒙開拓義勇隊。男なら義勇隊員ぞ、大満州の土となれ、と教えられ自ら志願した青少年義勇隊。日本の敗戦で崩壊した旧満州、大陸に取り残された開拓民は、まさに「棄民」だった。現地人の襲撃で自決した人々、飢え・疫病にたおれた人々、夜昼ない逃避行の日々。―敗走の大陸では様々な運命が錯綜していた。王道楽土を夢みて渡った大陸で、家族を一人残らず失っての帰国、そして孤児の多くは開拓民の子供だった。元開拓団員らの慰霊の旅に同行取材し、又開拓団が悲劇の母体となった中国孤児の帰国後の苦闘も伝える、菊池寛賞受賞の〈戦争〉シリーズ第7巻。
目次
昭和57年6月北山(ペイサン)
敗残の民
開拓少年
拉法山
小姑家(シヨウクウジヤ)の終戦
馬鈴薯畑の慰霊祭
敗走の中で
老母の祈り
中国孤児の日本
虹子の家族
再会のあとで…
肩寄せあって
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
晴天
2
元満蒙開拓団の引揚者の37年ぶりの訪中の同行取材と、帰国を果たした元残留邦人への取材から、満蒙開拓団の敗走と戦後とを描く。同行取材では、当時は若く何の知識もなかったといえども土地を収奪して入植しており、その帰結として追われる身となったが、開拓青年義勇隊の被服は軍服に似ている為に誤解を招いたり、さらには内戦下で様々な勢力に動員され、戦闘にさえ参加させられたなど、37年ぶりに様々なことが回顧される。また、帰国した残留邦人は、言語、制度、風習が高い壁となり、家族との間で不信が高まるなどやれきれぬ様が描かれる。2018/04/27
丰
0
Y-202006/07/25
ゴリゾウ
0
ある帰国孤児の中国籍の夫は、外国人登録に行った役所で、ずらりと並んだ子供たちを見た役人から「間違いなくみんなあなたのお子さんですね」と念を押されたという。・・ (P199) #11521990/07/13