内容説明
昭和7年3月、満州国建国を契機に生まれた満蒙開拓義勇隊。男なら義勇隊員ぞ、大満州の土となれ、と教えられ自ら志願した青少年義勇隊。日本の敗戦で崩壊した旧満州、大陸に取り残された開拓民は、まさに「棄民」だった。現地人の襲撃で自決した人々、飢え・疫病にたおれた人々、夜昼ない逃避行の日々。―敗走の大陸では様々な運命が錯綜していた。王道楽土を夢みて渡った大陸で、家族を一人残らず失っての帰国、そして孤児の多くは開拓民の子供だった。元開拓団員らの慰霊の旅に同行取材し、又開拓団が悲劇の母体となった中国孤児の帰国後の苦闘も伝える、菊池寛賞受賞の〈戦争〉シリーズ第7巻。
目次
昭和57年6月北山(ペイサン)
敗残の民
開拓少年
拉法山
小姑家(シヨウクウジヤ)の終戦
馬鈴薯畑の慰霊祭
敗走の中で
老母の祈り
中国孤児の日本
虹子の家族
再会のあとで…
肩寄せあって