内容説明
この法則を知らずして、資本主義、地球温暖化問題、人類の未来を語ることなかれ。
「世の中には、ある一方向にしか動かず、『絶対に』元に戻せないことがある」。
たとえば、コーヒーにミルクを入れてかき混ぜると、コーヒーミルクができて、その後再びコーヒーとミルクに分かれることはない。
たとえば、熱いコーヒーをそのままテーブルに置いておくと、冷めてしまう。
たとえば、コーヒーを床にこぼしてしまうと、元のカップに戻すことはできず飲むこともできない。
こうした一見「当たり前のこと」は、じつは「エントロピー増大の法則」という物理法則で説明することができる。
この「エントロピー増大の法則」は、数多ある物理法則のなかでも、どんな時、どんな場所でも成り立つ「別格の」法則。私たちの生き方、社会、そして宇宙を支配する法則なのだ。
なぜ、経済が成長すると格差が広がるのか?
なぜ、SDGsはうまくいかないのか?
なぜ、温暖化が大きな問題なのか?
その答えは「エントロピー増大の法則」を知ればわかる。
今日の情報科学の発展にも寄与した法則を理解するための最適の教科書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ブック
9
宇宙を支配するエントロピー増大則は、実は社会や人間同士の関係性にまで影響している。熱力学から始まった法則が、森羅万象の全てを支配していることの発見は、人の価値観を変える力を持っている。この本の素晴らしさは、この法則が語る意味を伝えていること。エントロピーは増大し、不可逆なので仕方がないのではなく、努力によって事態を解決する方法を見つけることがてきる、と言う教えでもある。人類は今、その歴史の分岐点にいる。エントロピーを低く保つために、心を合わせて努力できるかどうかを試されている。SDGsでは足りないのだ。2023/08/24
みーちん
6
生態系の循環について調べているうちにエントロピーを理解したくなり本書を購入しました。一応エネルギー管理士の免許は持っていますがエントロピー(情報)が統計学的に説明できることを初めて知りました。全体的に図が多用され理解しやすくなっていますが、数式中心の部分はやはり難しく、分かったようなわからないような…。個人的に自由と平等が両立しない話が興味深かったので、経済活動とエントロピーの関係性についてもう1例くらい説明が欲しかったです。エントロピーの法則が普遍的なのはわかりましたが、中には拡大解釈では?と感じる→2024/01/29
ふっすん
3
エントロピー増大は宿命で、低エントロピーにする必要性はないのではと思った。環境・人間・経済はエントロピー増大の方向に進んでいるが、世界は改善されている(「FACTFULNESS」 参照)。著者はSDGsの提案者は文系人間だと断定し、やたらと文系批判が目立つ。著者の結論が、低エントロピーにするためには宗教・信仰が大事で結んでいるところも浅はか。宗教間の争いが絶えず起きている中、軽薄すぎる。対抗して言えば「理系能」で思考回路が止まっている。物理学者ロヴェッリの「世界は関係でできている」の名著ぶりを再認識した。2023/11/24
keitakenny
3
最初の三分の一まではすんなりいったが、だんだん自分の頭の中がエントロピー増大 ぼんやりと感覚的に分かったような分からないような 何度も読み返さないといけない2023/09/30
ゆうちゃん
3
普段身の回りにありながら無意識下にある事象を説明するエントロピーを文理別け隔てなくわかりやすく解説されており、色んな場面での思想に落とし込みやすい。低エントロピーになる制御を心がける。2023/08/29