内容説明
新型コロナウイルスのパンデミックで隔離生活を強いられた16ヶ月間、イラストレーターにして作家のエドワード・ケアリーは、毎日1枚の画(え)を描き、SNSに投稿していった。偉大な作家や芸術家、歴史上の人物、小説の登場人物、さらに人間だけではなく、動物や鳥、植物や建物、風景に至るまで描きに描いた500点ものスケッチと、それにまつわる36篇のエッセイを収録。ケアリーらしさ満載のスケッチ集としても、時代を切り取るエッセイ集としても楽しめる珠玉の一冊。/解説=マックス・ポーター
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
つちのこ
39
これは手元に置きたい一冊。図書館で借りたことを後悔している。コロナ禍で自宅にこもる500日間に毎日一枚づつ書き続けた鉛筆画とエッセイが綴られているが、そのクオリティの高さはさすが。鉛筆は日本製のトンボ鉛筆Bをこよなく愛し、使い勝手を絶賛。宮崎駿や葛飾北斎の画も収録されており、同じ日本人として嬉しい。1日目に描かれ、何度も登場する「決然とした青年」の画は、パンデミックの苦しい日々から解放に向かう変化を表現しており、500日目の最後の一枚は清々しく、著者自身を投影した心理状態を同時に表しているようにも思えた。2023/11/15
tom
27
読友さんに教えてもらった本。絵を描くことができるのは、幸せなことなのだろうなと、見ながら読みながら思う。トランプやらペンスやらまで登場して、これは邪魔だったのだけど(著者なりの理由はある)、エミリー・ディキンソンやディケンズの顔、著者自身や家族・親族の顔、幻想の世界の生き物のよろしいこと、これを見ながら、絵を描くことができたらと、ちょっとだけ思ったのでした。著者が使うのはトンボのBの鉛筆(とても使い心地がいいらしい)とブリストル紙(べラム面)。これを使ったら、私にも絵が描けるか?無理だよね(笑)2023/11/01
ベル@bell-zou
25
パンデミック始まりからの一日一枚のスケッチとトンボ鉛筆Bと大黒椋鳥擬への愛にあふれるエドワード・ケアリーのエッセイ。心穏やかでない夜でもこの本を眺めるだけでクスッと脱力してしまう。精緻かつ超絶技巧の鉛筆画は時にユーモラスでどれも味わい深い。特に動物たちの絵にはケアリーの愛を感じ心和む。ただ何故か人物画にそこまでの熱量を感じないのもケアリーらしい。79日目のトランプとか本当ひど…笑。“決然とした青年”十変化どんどん崩壊して怖かったけれどパンデミックの落ち着きと共に最後は元通りになりホッ。また眺めよう。2023/09/11
アカツキ
14
コロナで家籠り中にSNSで毎日アップしていた絵500点とそれにまつわるエッセイを収録。絵は歴史上の人物、有名人、物語の登場人物、動植物など様々。人物画は最初からよく似ているけれど、枚数を重ねるうちにパーツのバランスがとれるようになって更に上手くなっている。毎日の積み重ねって大事なんだな。235日目のブラム・ストーカーと守護霊のような串刺し公ヴラドの絵が好き。ヴラド公、めっちゃ微笑んでる。279日目のドアのにおい嗅ぎサンタって何?!意味不明過ぎて笑っちゃった。2023/08/13
ROOM 237
12
コロナ禍で簡単に人と会えず交流を絶たれ、毎日肖像画を描き続ける事を己に科したケアリーさんの葛藤が詰まった一冊。継続について考える、いくら好きな事でもたまにはサボりたいし壁にぶつかるもんね、わかる。続けるぞ立ち向かうぞと決めたら、全力でなくても小さくふわふわっと進めれば良いじゃん?って選択も継続してきたからこそ強くなった証拠だと私は思う。タイトル「B」の由来に込められた想いにキューン♡日本人なら誰もが誇らしく感謝したくなるはず、嬉しいなァ。マイベスト肖像画はファニーなギレルモ監督♡2023/11/24