内容説明
新宿駅の九番線ホームで電車を待っていた牧薩次のうしろで鈍い爆音とともに売店から黒煙が上がった。パニック状態に陥った群衆は階段に殺到し、折り重なって転落した。死者9名、重軽傷者61名の大惨事であった。病院に担ぎ込まれた薩次は同室の若い被害者2人と意気投合し、その中の1人、三原恭助の実家、鬼鍬温泉に、退院後それぞれカップルで出かけることになった。だが、そこで密室殺人事件に巻き込まれる……! 『仮題・中学殺人事件』に引き続き、今度は「作者は 被害者です/作者は 犯人です/作者は 探偵です」と、作者が仕掛ける超ミステリ。ポテトとスーパーの名推理が冴える第2弾、ファン待望の新装版。/解説=はやみねかおる
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
森オサム
32
ポテト&スーパーシリーズ二作目。昭和51年の作品。シリーズ前作よりこちらの方が面白かった。今回も幕間が入った入れ子構造のメタミステリー風なので、分かり辛いと言えばそうなんですが、作者は被害者で犯人で探偵、との設定をクリアしていたと思います。メインの登場人物達は高校生なので青春ミステリーでも有るのでしょうが、事件やテーマは重くてやり切れない読後感となりましたね。苦いのも青春の内と言う事か。二つ出て来る密室トリックはまあボチボチとして(笑)、でもコレは本格ミステリとしか言え無いでしょう、良い作品だと思います。2024/06/02
鐵太郎
22
最初の刊行は1976年つまりなんと昭和51年。その時代に生きた高校二年生の可能キリコ・スーパーと、牧薩次・ポテトの事件簿その2。新宿駅で起きた爆弾騒ぎから始まった6人の同じ世代の少年少女が巻き込まれた殺人事件のいきさつがお話のメインなのですが、描かれる青春模様のコミカルな古くささと新しさが素敵。しかしその先で起きる事件は凄惨でトリッキー。そしてこの本の編集者が出版広告に使った文句。 作者は 被害者です/作者は 犯人です/作者は 探偵です/この作品は そんな推理小説です ──そのとおりでした。すごいね。2023/12/02
ホームズ
17
新宿駅の爆発事件に遭遇し、病院に担ぎ込まれた牧薩次。病院で同室の三原恭助と上野武と意気投合し、退院後恭助の実家がある鬼鍬温泉へみんなで出かける事になる。 春休みに盗まれた恭助のバイクでひき逃げされ死んだ従姉弟の怜子の幽霊が恭助の周囲い現れる。 薩次たちが帰った後、密室状態の部屋で殺害された恭助。 恭助がバイクと盗まれた小説。 ポテトとスーパーのシリーズは軽い雰囲気の中でも事件の真相が辛かったり、寂しかったりする。 仕掛けの方も面白いので好き。2024/01/03
おうつき
12
ポテト&スーパーシリーズ二作目。メタ的な要素を全面に押し出した作風は変わらずで、前作からより複雑な構成になっている。これを半世紀近く前にやっているのは凄い。登場人物達のやり取りも現代の小説では考えられないような部分も多く、時代性を含めて楽しむことができた。軽妙な文体であるが起きていることはなかなかえげつなく、そのギャップも面白い。2024/11/24
はるまげどん
11
前作の「読者が犯人」であるのに対し、今作はどういうこと?と思いながら読み進めた。 消失する幽霊騒動、密室殺人事件等ミステリ好きにはたまらない要素が盛々。 内容的に重たくなりがちだが、キリコと薩次のコンビは高校生になり、変わっていく部分と変わらない部分。その両面を見れてホッとする。今後、二人の関係性はどうなるのか…。 他にもタイプの違う高校生カップル2組とのやり取りはそれぞれに個性的で楽しい。 終盤のタイトル回収にも、納得。2024/07/06