中公新書<br> 小泉信三―天皇の師として、自由主義者として

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中公新書
小泉信三―天皇の師として、自由主義者として

  • 著者名:小川原正道【著】
  • 価格 ¥858(本体¥780)
  • 中央公論新社(2023/06発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784121025159

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内容説明

戦前は自由主義経済学者、マルクス主義批判の知識人、慶應義塾長として知られた小泉信三(1888~1966)。戦中は好戦的発言を繰り返す中、空襲で全身火傷を負う。戦後は皇太子教育の全権委任者として、敗戦で揺らぐ皇室を支え、美智子妃を迎えるなど象徴天皇制の基盤を作った。本書は、国家主義の台頭、戦争、敗戦という激動の中、国家のあり方を問い続け、オールド・リベラリストの生き方を貫いた小泉の生涯を描く。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まーくん

38
平成の世も間もなく終わろうとしている。先日、誕生日を迎えられた天皇が所感を述べられていた。「平成」が戦争がない時代であって良かったと。真に同感である。その今上天皇の皇太子時代、教育の任にあたった”オールドリベラリスト”小泉信三の生涯。教授時代はマルクス経済学批判者として論陣を張り、慶應義塾長就任後は大学の発展に尽力するが、一旦戦争になったら勝利のため邁進すべきと学生に戦意高揚を訴える。学生の頃に読んだ「海軍主計大尉小泉信吉」。戦死した子息との書簡を中心とした父親の愛情と深い悲しみが感じられた一冊であった。2018/12/29

trazom

24
小泉信三博士の四つの顔:①皇太子の家庭教師、②学者(マルクスの批判者)、③論壇の寵児(単独講和論)、④慶應義塾長、が紹介される。戦意高揚を唱えた戦争協力者の一面も隠せない。博士は「道徳的背骨(モラル・バックボーン)」の大切さを強調し、「象徴天皇以上のもの」を天皇に求めたとあるが、国民に寄り添うご姿勢は、正にその教えだったのだと気付く。戦後、小泉博士は聖公会で受洗。小泉博士、クェーカー教徒のヴァイニング夫人、聖心女子大卒の美智子様から影響された現上皇の「道徳的背骨」は、キリスト教によるものだったのだろうか。2019/05/08

軍縮地球市民shinshin

13
オールドリベラリストの経済学者小泉信三の評伝。200頁に達しない量の本だが、小泉の生涯の概要がよく分かる好著。天皇陛下の東宮時代の教育係だった人物で、英国王ジョージ5世の伝記を英語で皇太子と一緒に読んだというエピソードは良かった。立憲君主としての帝王教育を皇太子は受けたわけだ。現代では小泉のような学者はいなくなり、真のリベラリストがいなくなり、山口なんとかのようなエセ学者が多くなっているのは遺憾だ。日本だとリベラリストが左翼になっているのはおかしい。2019/02/26

もえたく

12
小泉信三氏は、小泉純一郎氏らの縁者ではなく、慶応義塾で創立者の福沢諭吉に次ぐ知名度を誇り、現在の天皇の家庭教師として帝王教育を施した人とのこと。恥ずかしながら、あまり知らず、偉人伝を読む感じで読了。2018/11/30

K.H.

9
あとがきによれば、このままでは小泉信三の存在が忘れられてしまうという気持ちから筆をとったそうだが、悪いけど忘れられてもかまわない人かな、と思った。塾長として慶應義塾を守るという動機があったとはいえ、戦時中の、学生たちを死地に送り込む発言はまったく擁護できない。それでいて、戦後は皇太子(今の上皇)の教師に収まる。それで副題のように自由主義者と評価されているのをみると、オールドリベラリストというのは信用できないという気持ちになってしまう。せめて同じ自由主義者でも、河合栄治郎辺りを見習ってほしい。2024/05/22

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