内容説明
1918年、日本統治下の朝鮮。山間の小さな村で育った18歳のポドゥルは、ハワイで暮らす朝鮮人男性のもとへ嫁ぐため故郷をあとにした。結婚相手とはお見合い写真を交換しただけで一度も会ったことはなく、ハワイがどこにあるかもわからない。けれど、楽園と呼ばれるその島へ行けば、何不自由ない生活が送れるうえに、女性でも勉強ができると聞いたのだ。一枚の写真だけを頼りに、同じく「写真花嫁」となる同郷のホンジュとソンファと共に海を渡る。だが三人を待っていたのは、波のように押し寄せる試練の連続で……。激動の時代に痛みを背負いながらも明日を信じた彼女たちの、勇気と愛情に満ちた半生とは。国際アンデルセン賞・韓国候補作家が贈る、希望を捨てない女たちの愛と連帯を描いた傑作長編小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kawa
31
1910年代(大正年間)、日本の韓国併合下のなかで朝鮮半島からハワイの朝鮮移民者のもとへ「写真花嫁」と称して詐欺まがいの好条件に騙されて嫁いでいく朝鮮同郷3人娘の苦難の物語。あの時代を抑圧された民族の側から描かれる韓国版大河小説の趣き。かの国の職業差別の実態、日本に対する反発、抗日運動のなかでの同一民族同士の内紛等の様子が新鮮かつ興味深く描かれる。2023/10/26
スイ
16
日本統治下の朝鮮から、ハワイに移民した会ったこともない人に嫁いだ写真花嫁たちの物語。 主人公たちが味合わされる苦しみ、悲しみの元凶がほぼほぼ日本なので、胸が苦しい。 本当に何てことをしてきたんだよ…。 ノンフィクションで知ることも無論大切だけど、等身大の人間の痛みとして感じられるフィクションで読むことも大きな意味があると改めて思った。 時折説明的な箇所があるのが気になったけれど、愛情と敬意を持って書かれているのを肌で感じられ、終盤は胸がいっぱいになった。 日本でも広く読まれてほしい。2023/10/24
カチ
11
友人に勧められて読了。日本統治下の朝鮮で、様々な理由で「写真花嫁」として夢見てハワイに渡った3人の少女達の話。主人公のポドゥルの夫は若く写真通りだったが、ホンジュとソンファの夫はまるで年寄りのようで落胆するが、帰る旅費もなく、現実を受け入れて生きるしかなかった。時には孤独に耐え、時には皆で慰め合いながら次々に起こる人生の荒波を泳いでいく写真花嫁達が逞しい。話の土台に日本統治下の歴史があるので、何とも複雑だが、若い少女達の切実な思いに引き込まれた。 2024/02/01
東雲
8
日本占領下の韓国、たった一枚の写真を頼りに楽園と呼ばれるハワイへ嫁いだ「写真花嫁」たち。しかし夫の年齢、職業、財産、酷い場合には写真すら虚偽のこともあった。それでも帰ることはできない。まだ見ぬ新天地で見知らぬ夫と共に生きていかなければならない不安、それを共有できる友の存在の大きさ。信じるものが違っても変わらない友情の心強さ。時代に翻弄されながらも強かに生きていく彼女たちの友情が長く続き、託し託されていく未来が明るいものであることを願うばかりだ。その上でより良い未来を作るのは自分たちだという思いを抱かせる。2023/05/30
john
7
なぜママたちなんだろうと思ったが、最後に意味がわかった。写真花嫁については、工藤夕貴主演の映画を見て初めて知ったのだが、韓国でも同じ事が行われていたのだ。花嫁を呼び寄せるために若い頃の写真を送ったり、金持ちのふりをしたり、酷い話だ。写真だけを見て遥か遠くのハワイにまで行こうとする当時の女性たちの勇気に驚いた。とても真似できない。どんなに辛く悲しかっただろう。同じ故郷の者同士、お互いを姉妹のように思い、助け合い生きてきた人達の人生に感動した。今のハワイに生きているアジア系の人達の苦労も偲ばれる。2023/08/05
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