内容説明
東北大凶作、関東大水害、桜島大噴火、東京湾台風、そして関東大震災……。百年前の日本は、戦争だけでなく、自然の猛威により膨大な被災者を出していた。この時期は、世界各地でも巨大災害が続発。諸外国との支援をめぐる交渉が活発化し、“一等国”となった日本はその対応に迫られていた。本書は、巨大災害の実態から、対応、復興、影響、国際関係まで、民衆と国家の双方の視点から記していく。戦争で語られがちな日本近代のもう一つの現実を描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
117
「日本史は自然災害の歴史」と何かで読んだが、明治以降の近代史でも変わりはない。唯一大きな違いは災害が国際関係や内政にも影響を与え、外交や政治の手段にまでなった点か。東北の飢饉や桜島噴火、サンフランシスコ地震に関東大震災など内外で大災害が多発した20世紀初頭は、そうした災害の政治化が定着した時代だった。他国の災害に際して義援金を送り合うのが友好の証しとなり、政府の被災者支援や復興対応を巡り政財界で抗争が起こった。地球温暖化で更なる災害発生が予想される今日、災害外交や人災防止を学ぶ新たな補助軸を提示している。2023/08/27
kenitirokikuti
15
先に「第6章 関東大震災の衝撃 ―― 一九二三年九月」を読んだ。著者の当初の研究多少は主に空襲(対策)だったが、 「災害教訓の継承に関する専門調査会」の報告書の関東大震災の作成に関わったそうな。1906サンフランシスコ大地震や、1908年イタリア・メッシーナ地震でも政府などが軍や警察を出動させ、前者は略奪者を殺害する許可を、後者は戒厳令を布いた。がれきを掘る救助者を略奪者と誤認して殺害したり、物資不足から軍が略奪を働いたりなど本末転倒はあったそうな(その程度の記述は本書にないが)。日本でも同じ轍を踏む2023/10/17
CTC
13
7月の中公新書新刊。著者は日本近代史専攻の聖心女子大現代教養学部教授。本書は20世紀以降関東大震災までの内外の自然災害とその影響や社会事象を記す。以前に読んだ秦郁彦『病気の日本近代史』が発見のあるいい読書であったため、“災害”もさぞ人の叡智や愚かさが発揮される物語があろうと楽しみに読んだのだが…既知の災害の羅列に終始しており、なんともなぁの読書になった。近代史の泰斗が専門でない分野を気楽にエピソードで書くものと、若手研究者が真面目に専門をお題に沿って書くのとじゃあ較べては悪いけれども。。2023/09/07
どら猫さとっち
6
地震、台風、噴火、洪水…。いつの時代も、自然災害は起こり得る。人間の生活と自然との付き合いは、私たちの永遠の課題である。本書は、近代日本に焦点を当てて、その時代の人たちは、そして国際情勢はどうだったかを論じていく。復興、海外からの支援、そしてその後に起きた人災。東日本大震災から12年経った今、もう一度本書からの知恵を授けるべきではないか。2023/10/29
aochama
5
大正時代に関東大震災の前にいくつもの自然災害があり 政府も民衆も一丸とまって、工夫と忍耐で苦難を乗り越えて来たことがよくわかりました。今の制度に生きていることも多いんですね〜。その際にできた隣組などが実は戦争への一助にもなっていたのは驚きでした。2024/06/11




