内容説明
――「だってもう、怖くてさ、地獄に落ちるのが」
新進気鋭のホラー作家・梨が描く、地獄絵図。
この本を読み終えても、恐怖は終わらない。
とあるデパートの「屋上遊園地」。峠道に存在した石塔。23分45秒の動画記録。種苗育成のためのガイドライン。幽霊の死体。エレベーターに響く声。
まるで、覗き絡繰のように次々と雪崩れ込む6つの話は、人間が最も根源的に恐れる「死への恐怖」を呼び起こす。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のっち♬
139
テイストの異なる6話が導く地獄絵図。『かわいそ笑』に引き続き読者を傍観者にとどめない持ち味が発揮され、説得性は飛躍的進化を遂げた。1話1話単品でも質が高く、それぞれが有機的に結びついて信仰史などを絡めて、死生観の根本を揺さぶってくる。その切り口も屋上遊園地という日常性にはじまりサークルや昔話など王道系まで多彩で飽きさせない。くどい表現が目立つ文章がB級臭いのは殊更惜しいが、資料の累積で広げていく段取りも上手い。もっとも、あまりに無力感が突き抜け過ぎて乾いた諦念ばかり残るのでホラーとも言い切れない面がある。2024/02/29
yukaring
84
ホラー作家の描く地獄絵図。最初は怪異なのか何なのかオチも説明もない短編のつらなりに「?」だが最後の話を読んだ途端に全てが腑に落ち、見える世界が一変する斬新な構成。とあるデパートの屋上遊園地、峠道に存在する石塔、23分45秒の動画記録、種苗育成のためのガイドライン、幽霊の死体にエレベーターに響く声。どれも生理的に嫌悪感を催すような本能的恐怖を呼び覚ますエピソードばかり。登場人物の「だってもう、怖くてさ、地獄に落ちるのが」と言うセリフが全てを表している、非日常の闇に捉えられ抜け出せなくなりそうな不条理ホラー。2023/09/09
星群
73
初読み作家さん。いやぁ、ホラーを読んで久しぶりに恐怖を感じました。恐怖というか、不気味さですね。その箇所を発見してからは、不気味で内容があまり頭に入ってこなかった。一応読み終わった後、不気味さがまとわりついてネットで検索したもの。それで、やっと一心地つけました。苦笑。タイトルの数字がカウントされてるのも、うっすら不気味でした。いやはや、おみそれしました。梨さん。2025/07/31
Kanonlicht
53
6つの短編の中には、なにかの資料を転載したかのようなものもあって、モキュメンタリー好きとしてはうれしい。それぞれ読み進めていくうちに、非日常の世界に迷い込んだような気味悪さを覚える。最後の話で各話のタイトルの意味が(なんとなく)わかる仕掛けになっているけど、考察したい人はどうぞご勝手にというある種投げっぱなしの感じが、不条理というか、得体の知れないものを見たという恐怖を感じるいい効果になってる気がした。2024/07/26
さっちゃん
52
6編の短編が最後で繋がりが見えてくるホラー短編集。意味がわかりにくいものから不条理な世界観にクラクラするものまで様々。何だか気持ち悪くて厭な気持ちにさせられて、ちょっと私は苦戦してしまったかな。もう一回読んだらもっとよくわかりそうだけど、やっぱり気持ち悪いから当分再読はいいかなぁ。2024/04/08
-
- 電子書籍
- 氷の侯爵様とかりそめの花嫁~最愛の旦那…
-
- 電子書籍
- PPE「PPE ALLSTARS 夏色…
-
- 電子書籍
- 解 集英社文庫
-
- 電子書籍
- 韓国ウオッチング
-
- 電子書籍
- アタラクシア~戦国転生記~(1) アー…