内容説明
イラクで理不尽な形で消えていったすべての命に、この本を捧げます。――2004年4月7日、現地時間の午前11時頃、私はイラク北西部ファルージャ近郊で武装グループに拉致された。通算4回目のイラク入りで起きた、悪夢のような出来事だった。拘束の日々と再生への途。
●突然、体が仰向けに引き倒された。喉元に硬い物が押しつけられる。ゴクンと生唾を飲んだ。ナイフ? 少しでも動いたら、喉を切り裂かれる……そう思った。「ノー コイズミ」の大合唱が始まり、私も「ノー コイズミ」と叫ぶ。耳元で金属の触れ合う音がする。恐怖にかられ、「ノー コイズミ」と繰り返す。ふいに喉元の圧迫感が消えたが、誰も助け起こしてはくれない。――<「第1章 拘束の9日間」より>
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶっちゃん
4
小泉元首相は、アメリカ軍におともだち作戦ありがとうと、泣いて感謝していた。原発は間違いだったと。 なら、イラクの人たちにも謝るべきなのではないだろうか? 高遠さんが見てきた、イラクの実体。アメリカ軍の実体。沖縄にいるとさもありなんと感じる事もある。 アメリカ人が日本人が憎いわけではない。 軍隊が憎いのだイラクの人たちも。 そして、今後のウクライナにも思いをはせる。2022/06/15
sirokuma
2
イラクで人質になった時のことや、その前のイラクでの人道支援、自衛隊派遣前のイラク人たちの気持ちを克明に記録している。イラク戦争のことがやっときちんと理解できた気がした。イラクのストリートボーイズ達と本気で向き合う高遠さんは本当に素敵だ。そして、自分を拘束しているイラク人たちにも、臆せず自分の主張を伝える高遠さんもかっこよかった。「自分は“無力”ではない、自分には“微力”がある」という言葉が、謙虚で力強くて素敵だと思った。2014/09/01
otakichi
2
あの「人質」事件がどうして起こったのか?そのバックグラウンドやマスコミが報道しなかった当時のイラク情勢がわかる。イラクのストリートチルドレンのために奮闘する高遠さんがすばらしい。2010/01/03
静
1
何気なく手に取った本でしたが、引き込まれるように一気に読み終えました。政府に翻弄され、マスコミに視聴者受けするように創り変えられた報道に、当事者家族はどれ程の苦痛を生き抜いてきたのか! この本を読んでショックで胸が痛くなりましたが、沢山の人に読んで欲しいと強く思いました2018/09/14
ばんぶー
1
日本にいると、世の中平和に感じられますが、まさに実は地球は平和でも豊でもないことを、忘れているだけの話だと思いました。それと関係あるかもしれないですが、イラクでも人質事件の時に見せた日本人の冷たさを思い出し、なんともいえない思いを感じました。2009/03/02
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