内容説明
巨大地震発生。地下に取り残された女性は、目が見えず、耳も聞こえない。
光も音も届かない絶対的迷宮。
生還不能まで6時間。
想像の限界を超えるどんでん返し。
救えるはずの事故で兄を亡くした青年・ハルオは、贖罪の気持ちから救助災害ドローンを製作するベンチャー企業に就職する。業務の一環で訪れた、障がい者支援都市「WANOKUNI」で、巨大地震に遭遇。ほとんどの人間が避難する中、一人の女性が地下の危険地帯に取り残されてしまう。それは「見えない、聞こえない、話せない」という三つの障がいを抱え、街のアイドル(象徴)して活動する中川博美だった――。
崩落と浸水で救助隊の侵入は不可能。およそ6時間後には安全地帯への経路も断たれてしまう。ハルオは一台のドローンを使って、目も耳も利かない中川をシェルターへ誘導するという前代未聞のミッションに挑む。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
605
地震で崩壊した地下都市に閉じ込められた盲聾唖の女性を、災害救助用ドローンを使って救出するドラマとは世界初の設定。ハリウッド映画なら登場人物の思惑や過去を付け加えるだろうが、助け出せるか否かに焦点を絞っているため物語がストレートで読ませる。「無理と思ったらそこが限界」とは昭和的なセリフだが、それほどの気持ちがあればこそ主人公は人命救助に献身できるのだ。途中で要救助者の障害が本物か疑惑が生じたり、やはり唖者である友人の妹が行方不明になる事件が起こるが、全てが結びつくラストはエンタメの見本的な鮮やかさで決まる。2023/07/21
青乃108号
539
まず先に言わせてもらうと、俺はこの本の単行本ソフトカバーという装丁が、読みにくくて嫌いだ。ページの紙が厚すぎるせいもあって、とても開きにくくて、大いにストレスを感じた。当然、装丁も含めて1冊の作品なのだからこの時点で大きく減点。肝心の内容については。何とも軽い。かなりの大惨事が起きており(見えない・聞こえない・話せない)たった1人の生存者を災害派遣用ドローンで時間内に救出せねば、という切羽つまった話なのに、何か軽い。俺が思うに、文章が足りない。各場面毎に2割程度の文章の不足を感じてスカスカの印象。惜しい。2023/08/14
stobe1904
496
【このミス2024第5位】巨大地震が発生し、地下施設に取り残された女性を救うべく災害救助用のドローンを操るハルオだが、その女性は目が見えず、耳も聞こえない障害を持っていた…。幼い頃に兄を救えなかったハルオの救出にかける思いと、上階は火災、下階は浸水の中であの手この手で救出を試みる息詰まる展開に読む手が止まらない。取り残された女性の救済と謎解きだけでなく、ハルオ自身の救済で終わるさわやかなクロージングは読後感がとても良い。ランキング上位も納得の面白さだった。★★★★★2024/03/20
うっちー
381
エンタメ小説。映像化すると良いかもしれません2023/10/18
ムーミン
339
最後はこう繋がるんですね。2023/12/18