カメラは光ることをやめて触った

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カメラは光ることをやめて触った

  • 著者名:我妻俊樹【著】
  • 価格 ¥1,980(本体¥1,800)
  • 書肆侃侃房(2023/06発売)
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  • ISBN:9784863855694

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内容説明

我妻俊樹の短歌を初めて集成する待望の第一歌集。

夏の井戸(それから彼と彼女にはしあわせな日はあまりなかった)

我妻俊樹の短歌を初めて集成する待望の第一歌集。
誌上歌集「足の踏み場、象の墓場」から現在までの歌を含んだ唯一無二の686首。

電子版にはおまけの栞は付属致しませんので、ご了承下さい。

【著者】
我妻俊樹
1968年神奈川県生まれ。2002年頃より短歌をはじめる。2003年から4年連続で歌葉新人賞候補。2008年、同人誌「風通し」に参加。平岡直子とネットプリント「ウマとヒマワリ」を不定期発行。2016年、同人誌「率」10号誌上歌集として「足の踏み場、象の墓場」発表。2005年に「歌舞伎」で第3回ビーケーワン怪談大賞を受賞し、怪談作家としても活動する。

目次

Ⅰ カメラは光ることをやめて触った
喫煙する顔たち
偶然はあれから善悪をおぼえた
窓をみせる穴
どちらも蜘蛛の巣の瞳
花瓶からきこえてくる朗読
学園への執着
その緑地
カメラは光ることをやめて触った
サマーグリーン
星に見えない何か
猛獣
ポップアップ殺し
ストロボ・ストロンボリ
小鳥が読む文章
想像
水中を去れ、空中が受けとめる
夜の二十四時間
飴玉がとけるという通信
ビター・キャンディ・オークション
愛唱性

Ⅱ 足の踏み場、象の墓場
きみが照らされる野草
貝殻と空き家
窓を叱れ
大きなテレビの中の湖
美談
完璧な野宿
よろめきとして
光る旅
ある県立
煙る脚
皮膚
森へ映ろう
午前2時に似ている
神社+神社
いらない炎を顔につけて

【栞】
瀬戸夏子「それなのにまばたきの」
平岡直子「わたしはみることをやめてみられた」

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

内島菫

16
主語と述語があったとしても、一首の中でそれらがツイストする。主語は主体として現れておきながら、しれっと客体として還ってくる。「蜜蜂と電池をまちがえて刺された けれどラジオは歌ってくれた」国語の先生に文法の間違いを指摘されるようなところをかい潜り、文法の脱法行為の超低空飛行(私の憧れ)。「読みながらつるっと落とす絵葉書のもみじの色を道が囲んだ」文字や色や道といった異なる性質のものをバリアフリーに移行するスーパーフラットな手付き。ご存知のように、超低空飛行をするには超大きな翼が必要なのだ。2023/06/16

スイ

7
「ワンルームいっぱいに月の裏側を暗すぎるかな敷きつめるのは」 面白かったなぁ…! えっ、そう繋ぐ? えっ、どこから来た? という驚きでいっぱい。 上に挙げた歌などは目では自動補正で下の句をひっくり返して読めてしまうところを、追って頭が音をつけて読むとあれ逆?! となって、目と脳が分離するような感覚。 言葉の順だけでなく選び方からびっくりして、ぞわぞわして、でも何だか不思議に居心地も好かったりもする。 「若者が巻き付けられて点される電飾のコードは土中より」2023/08/19

misui

7
この感情は自分にもある、あり得た、ない、わからないけどそれでもいい…などと頭の中で判断しながら読む。つまり普通に読んだのですけど、わかることもわからないことも含めて距離が心地よく、再読に耐える歌集と思います。後半に収録の「足の踏み場、象の墓場」はもう少し遊んでいる形跡があって作風の変遷を(勝手に)想像してみるのも楽しいです。2023/04/09

qoop

4
カット割に飛躍があって脳内でつながらず、絵だけが印象的に残り続ける映像。論理に飛躍があって理解が追いつかないものの、流れで聞けてしまうので後から思い出せない会話。羽ばたく詩情は掴めそうで掴めなかったり端から届かず口を開けて見送ったり。置き去りにされ、取り残されるかのような読後感を憶えた。素晴らしい。/車の屋根を歩いて海へ出るような世界の果ての秋の渋滞/鳥類のねむる音する帯紙を破ればしずまりかえる文庫本/あなたには正装した子供に見えるサボテンが点々と門まで2023/08/30

𝐂𝐄𝐋𝐄𝐒𝐓𝐈𝐍𝐄

3
すごい。主語と述語、名詞と動詞が、今まで見たことのない組み合わせで連なっていて、新鮮な驚きが耐えない歌集。パッと意味のとれる歌は少ないが、その分自分の奥にある言語化以前の言葉?感覚?と、響きあう歌が詰まっている。我妻さんの歌は普段使いの言葉では決して触れることのできない、スライムのように不定形の感覚にまで、手を伸ばして触れてくる。何かがピクリと動くのを感じる。何度読んでも飽きない歌集というのは、このような歌集のことをいうのだろうと思った。これぞ言葉の芸術。2023/12/20

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