内容説明
元現地特派員による渾身のルポルタージュ!
機会の不平等による格差の再生産、貧困の連鎖で、
ポピュリズムへの道を突き進む南米。
南米と日本の「不平等と格差」は“程度の問題”に過ぎない。
南米のリアルから日本の危機をも示す警告の書。
目次
序章
第1章 ベネズエラ 「21世紀の社会主義」の崩壊
第2章 アルゼンチン 落日の大国を覆う投票の呪縛
第3章 ブラジル 怒りが揺らす社会秩序
第4章 チリ、コロンビア、ペルー、ボリビア 格差が招く終わりなき混乱
第5章 ポピュリズム大陸から日本への警告
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
118
今や南米はポピュリズムによる民主主義の失敗見本市の様相を呈している。少数の金持ちエリート層が国政を牛耳る状況の改革を訴える左派に、大多数の貧困庶民層は選挙で政権を委ねた。しかし左派の格差是正策はバラマキだけで、日本やアジア各国でとられた長期的な産業育成や教育拡充などは行われなかった。バラマキの原資がなくなると経済は悪化し、左派は退陣するかベネズエラのように独裁者と化す。しかし右派政権が経済再生のため国民に我慢を求めると、有権者は自分たちを甘やかす左派になびく。愚かな国民には愚かな政治しか与えられないのだ。2023/08/22
よっち
35
機会不平等による格差再生産、貧困の連鎖で、ポピュリズムへの道を突き進む南米。元現地特派員による南米のリアルから日本の危機をも示す渾身のルポルタージュ。米国の思惑にも翻弄されて「21世紀の社会主義」が崩壊したベネズエラ、経済大国だった過去から政局が混乱するアルゼンチン、経済を急成長させながらも多くの問題を抱えるブラジル、そしてチリ、コロンビア、ペルー、ボリビアの格差が招く終わりなき混乱。断片的にしか知ることがないポピュリズムに揺れる南米大陸の実情を現地特派員が生々しく伝えていて、いろいろ考えさせられました。2023/07/16
泉を乱す
15
各章(各国)ごとにその国出身の友人の顔を思い浮かべるくらい南米出身の友人が多いのだが、彼らはいわゆる本書に出てくる富裕層である。私は彼らと文化について話すけど政治の話を深くしたことはない。知ってるようで何も知らない南米のことを知る第一歩として良書だった。2024/07/30
owlsoul
13
政治の目的は、マクロで長期的な利益のためにミクロで短期的な不利益を選択する(させる)ことだ。当然、不利益は最小限におさえ、被害者へのケアも忘れてはならない。言葉にするのは容易いが、この舵取りが難しい。ポピュリズムは、マクロで短期的な利益のために長期的ビジョンを無視する。この現象を引き起こす最大の原因は経済格差だ。今の生活に困窮する人々が増えるほど、長期的視野は失われていく。歴史的経緯によって格差が定着している南米において、ポピュリズムの抑制は困難を極める。昨今の状況を見ていると、これは対岸の火事ではない。2024/01/02
いとう・しんご
13
ラジオのスペイン語講座のテキストきっかけ。経済ジャーナリストの目から見た’00年代以降の南米7カ国の現代史。国際経済に翻弄され、厳しい格差と政治家の腐敗のゆえに政情不安に苦しむ様子を学ぶことが出来ます。地下資源や畜産品など一次産品に依存する経済構造ゆえに市場の価格年々に国民生活が翻弄されるという、イタコ一枚下は地獄という国で、バラマキ政策の影で政治家は私腹を肥やすことばかりを考えている、と言う、どっかの国と大差ないお話でした。2023/12/09
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