- ホーム
- > 電子書籍
- > コミック(少女/レディース)
内容説明
家出してあてもなく彷徨っていた少女ビーは、親戚の家へと向かう途中の自動車修理工 ルーに出会う。偶然みつけた迷子の子猫も加わり〈ウエスト〉という町を目指し一緒に旅することになった二人。しかしそこに奇妙な出来事が次々と起こりはじめ、謎の男たちに追われることに。それぞれにトラウマを抱えながら独り苦しんできたビーとルー。お互いの痛みを知った二人は、寄り添いながら、辛い過去そして自分自身と向き合っていく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
28
逃げる行為は、現実の否定のように思える。その後ろめたさは、旅そのものを惑わせる。けれど、ビーはルーに出会い、ルーはビーに出会うことで、この旅が現実からの逃避とは違い、新しい現実を作る旅なのだと気付く(そもそも逃げる行為自体、勇気と覚悟のいることだ)。ここで重要なのは、旅の途中で拾った猫・ダイヤモンドの存在だ。まさしく彼女達の旅は、道なりに行くのではなく、道を作る旅なのだ。ティリー・ウォルデンは『スピン』同様、少女期の不自由さを繊細な描写で解放へ導く。(つづく)2023/06/24
ねむ
16
グラフィックノベル。絵の感じは全体的にちょっと苦手だったけど、猫はかわいかった。家族との関係や性的マイノリティとしての生き方に悩む少女と若い女性がひょんなことから1台のクルマで旅に出る。シリアス一辺倒かと思いきや後半はファンタジー風の展開になるので、読み慣れていない私はしばし置いてきぼりになり困惑してしまった。ラストを含めストーリーはいかにもアメリカ的。作品の核となるメッセージを誰ともわからない端役に語らせるのはもったいない気がしたなあ。2024/02/12
Mipo
6
15歳のビーと27歳のルーのロードムービーのようなグラフィックノベル。赤を基調にした抑えた色合いもストーリーにぴったり。作者が参考にしたという日本のアニメの雰囲気をはしばしに感じる。ビーの感情表現が等身大のティーンのふるまいかただったのがとてもよかった。特にビーのような過去があればなおさらだ。そして、ルーのパニック状態も短いシーンながらよく伝わってくる。言いたいことを言えるのは、立派な抵抗だというメッセージが心にささった。どんな若者も話を受けとめてくれる人に出会えますように。2023/07/19
にぃと
6
タイトル&表紙買い。 女性ふたりと猫いっぴきの自動車旅。旅を通してすれ違い、ぶつかり合いながらわかり合っていく様子は、なんだか映画っぽい。女性同士のヒステリックなところではハラハラし、彼女たちが心の傷を言葉にするところではこちらも刺さるような痛みを覚えた。独特の空気感で、横書きの本には慣れてなかったんだけど、読んでるうちになんだか心に染み込むような感覚になった。2023/05/21
nightbird
6
「スピン」のティリー・ウォルデンによるファンタジー&青春ロード(グラフィック)ノベル。たくさんの夜のシーンを青ではなく赤を中心に描いた色のセンスと彩色の美しさにまず見とれてしまう。こんなに色遣いの上手い人だとは(スピンは単色作品だったからね)。絵だけ見てても楽しめるくらい絵が良い作品だけど、孤独なヒロインたちを繊細に描く青春物語部分と「モモ」の灰色の男たちを思わせる不気味な悪役が登場する異界への旅を描いたファンタジー部分が意外な融合をしてて、話も面白い。猫も可愛い。2023/04/27