内容説明
イエスの隣人愛の思想がその死後ギリシア・ローマの哲学的言語によって教義化されていく過程で,新たな存在論が作り出された.個の個的存在性(かけがえのなさ)を指し示す概念を中心とするこの存在論が古代末期から中世初期に東地中海世界の激動のうちで形成された次第を,哲学・宗教・歴史を横断し伸びやかな筆致で描き出す.(解説=山本芳久)
目次
はじめに
序章 カテゴリー
カテゴリー
隣人
迂回(一)――隣人からキリストへ
迂回(二)――キリストからキリスト教思想へ
第一章 いくつかの日付
1 教義論争の意味
2 いくつかの日付
3 コンスタンチヌスとビザンツ的構造
4 ニカイア公会議
5 パルメニデスの裔
(1) 論争のきっかけ
(2) パルメニデスの裔
6 旧約伝統のヘラス化
7 パルメニデスに背くもの
(1) アリウスとアタナシウス
(2) ホモウシオス――何が同一なのか
(3) いくつかの解答
解答(一)――ネオプラトニズム風
解答(二)――ウシアとヒュポスタシスの区別
解答(三)――私の心の省察から神へ
8 第一コンスタンチノポリス公会議
第二章 ヒュポスタシスとペルソナ
1 東方の息吹き
2 迷子になった概念
(1) ヒュポスタシス
(2) ピュシス
3 翻訳による変貌
(1) 顔――ペルソナとプロソーポン
(2) ペルソナ
4 概念のポリフォニー
第三章 カルケドン公会議――ヨーロッパ思想の大いなる転換点
1 前史
(1) 帝国の政治
(2) 教会政治と教理
オリゲネスとアポリナリスにおける二本性と一本性
ネストリウスとキュリルスにおける二本性と一本性
エフェソスの公会議
合同信条
盗賊会議
2 カルケドン公会議
(1) 第一・第二会議
(2) レオの書簡――西方世界のメッセージ
(3) カルケドン信経の成立――第三会議から第五会議まで
(4) カルケドン信経の問題点
3 カルケドン以後
(1) キュリルス左派の抵抗
(2) 「統一令(ヘノティコン)」と東西教会の分裂
(3) 単性説の理論家セヴェルス
4 ユスチニアヌスの路線
(1) カルケドン派の勝利と変貌――ユスチヌスとユスチニアヌスの政治
(2) 第二コンスタンチノポリス公会議
第四章 キリスト教的な存在概念の成熟
1 ネオ・カルケドニズム
2 ヒュポスタシス=ペルソナ
3 混合のメタファー
4 アリストテレス以降の混合論
5 キリスト教の混合論
6 新しい存在論の完成形――二人のレオンチウス
(1) 両レオンチウスに共通の理論的意図
(2) ビザンツのレオンチウス
(3) 「オリゲニスト」
(4) ビザンツのレオンチウスのキリスト=ヒュポスタシス論
(5) エルサレムのレオンチウスのキリスト=ヒュポスタシス論
第五章 個の概念・個の思想
1 残されたものと成就されたものと
2 ビザンツ的インパクト
おわりに
注
あとがき
解説かけがえのない「個」への導きの書 ………山本芳久
感想・レビュー
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syaori
松本直哉
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