内容説明
60人超の証言者が語る、沢田研二ノンフィクションの決定版
1970年代。音楽、ファッションが革新を遂げ、ポップスが花開く。その中心には必ず、彼がいた。
バンドメンバー、マネージャー、プロデューサー、共に「沢田研二」を創り上げた69人の証言で織りなす、圧巻のノンフィクション。
「週刊文春」人気連載、単行本化。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kei
87
森瑤子、安井かずみ、と一時代を築いた女性の生涯を丁寧に追った著書が素晴らしかったので、ジュリー、読んでみました。前者は故人だが、沢田は健在。そのせいか、生い立ち、成功への軌跡、時代から離れる経緯、仲間からの賞賛や評価は完璧だが、肝心の女性関係がすっぽり抜けている。ザピーナッツや田中裕子との関わりは、沢田には影響大だと思われますが、okが出なかったのでしょうか。でも、それこそが読みたいんですがね。多分、あのルックスの変化にも私生活は現れているような。後年の加筆に期待いたしましょう。2024/04/19
fwhd8325
85
タイガースがデビューして間もない頃、私は、生まれて初めてかっこいいという感情を持ちました。それから、ジュリーは、特別な存在でした。この著書は、ジュリーに肉薄している内容ですが、どこか物足りなさも感じています。関係者への取材は十分ですが、本人への取材をしていないせいか、どこか核心がずれているように感じます。それでも「TOKIO」以降のジュリーの葛藤はよくわかりました。今、映像を見ると、あれは時代を先取りしすぎていたんだと思います。75歳になる今、全国ツアーを行っている事実だけで十分だと思います。2023/06/22
竹園和明
50
沢田研二のスピリットは100%ロックだ。タイガース解散後に結成したPYGが彼の本当のスタート地点。沢田研二と萩原健一というGSのスーパースターをツートップに置き鳴り物入りでデビューしたPYGだったが、反体制のロックファンから商業主義の象徴と見做され受け容れられず短命に終わる。それでも沢田はバンドサウンドにこだわり、萩原健一脱退後の旧PYGのメンバーをバックに従え頂点に立った。謎多きPYG周辺の事情を詳しく書いた本作は画期的だし、歌番組と距離を置いた理由も彼の哲学を見た思いで納得。とても面白かった!2023/08/10
ぐうぐう
43
BLという切り口から沢田研二を語ろうとするあざとさは、しかし読み進めていくにつれ、納得と共感に変わる。久世光彦は沢田研二を女優と言い(そもそもジュリーというニックネームは英語の女性名だ)、「日本人男性の男はこうでなければならぬとするカチカチのこだわりに、沢田研二はたったひとりでなぐりこみをかけた」とは石岡瑛子の弁。ザ・タイガースで始まり、PYGを経て、ソロとなる沢田研二の歌手人生を島崎今日子は、記事や文献、関係者の証言、熱烈なファンにまで取材し、(つづく)2023/07/07
Roko
42
この本を読んでいて感じたのは、みんなジュリーが好きだったんだなぁということ。ファンはモチロン、音楽を作っていた人も、コスチュームを作っていた人も、お芝居を作っていた人も、みんなジュリーに憧れ、一緒に新しい何かを作り出すことを喜んでいたのだということ。そしてジュリー自身は、自分に求められる役目をキッチリやろうと努力し続けていたのが、ちょっと痛々しいほどだということ。それにしても、この本を書いた島崎さんの熱意は凄いものがあります。その迫力に圧倒され、一気に読み通したジュリーの歴史は、実に波乱万丈です。2023/09/02