ちくまプリマー新書<br> 「死にたい」と言われたら ――自殺の心理学

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ちくまプリマー新書
「死にたい」と言われたら ――自殺の心理学

  • 著者名:末木新【著者】
  • 価格 ¥825(本体¥750)
  • 筑摩書房(2023/06発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480684530

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内容説明

「死にたい」と思ったことがある人は人口の2~3割だという。そして全死因のうち2パーセント弱を自殺が占めている。死にたくなったらどうするのか、自傷行為と自殺は違うのか、自殺予防の未来など、心理学の最新の知見をもとに考える。

目次

はじめに──自己紹介と注意事項/第1章 自殺はなぜ起こるのか/原因は分からない?/どうすれば自殺が起こる原因が分かるのか/自殺が起こる「統計的な」原因/保健医療システムの要因/社会的要因1──自殺の手段へのアクセス/社会的要因2──不適切なメディア報道/社会的要因3──援助希求行動と関連するスティグマ/地域・人間関係要因/個人的要因/子ども・若者が自殺を考える理由/自殺の対人関係理論/自殺潜在能力──死に切る力/所属感の減弱と負担感の知覚/理論を使って世界を眺め、理解する/それでも自殺は分からない/第2章 「死にたい」と言われたら/可視化された「死にたい」/「死にたい」と言う人は、放っておいて大丈夫?/「死にたい」と言われたら/緊急事態の場合は、119番と110番/「死にたい」に自分で対応することを考えてみる/危機介入のための戦略/対話の際に、やってはいけないこと/どうやって話を聞けば良いのか/「死にたい」には波がある/負担感の知覚に働きかけることはできるのか/「だったら死ねばいいじゃん!」と言ってしまうのはなぜか/コップに入った水のたとえ話/不確実性に耐えながら関わり続ける/第3章 「死にたい」と思ったら/改めて、注意事項/我々はなぜ「助けて」と言えないのだろう/メディアを介した匿名性の高い相談/メディアを介した相談の問題点/相談窓口を使う準備をしておこう/自分の身体をマストに縛る計画を立てよう/助けてもらうための下準備をしておこう/SNSでのつながりをどう考えるべきか/ストレスへの対処方法のストックを探そう/自傷行為は多くの場合、ストレス対処方法/飲酒、薬物使用をどう考えるべきか/死なないだけでそれでいいのか?/幸せになるための生活習慣の作り方/ネガティブな感情にはどういう意味があるのだろう?/第4章 自殺は悪いことか/自殺は予防すべき?/自殺対策基本法/自殺への態度は地域や時代によって大きく異なる/「常識」の違いに思いをはせてみよう/死ぬことはそもそも悪いことなのか?/生物はなぜ死ぬのか/自殺のような行動のメリット/自殺は異常で病的なことなのか?/自殺は他の死に方と比べて、悪いか?/予防すべきではない「自殺」をするためのハードル/合理的な判断をすることは可能か?/「適当」な意思決定をしてしまう理由/みんなで時間をかけて、ゆっくり考える環境を!/未来展望/第5章 幸福で死にたくなりづらい世界の作り方/効果的な自殺対策とは?/自殺方法へのアクセスの物理的な制限/ゲートキーパー教育/相談資源の充実とアクセスの改善/適切なメディア環境の構築/政策の効果はどうすれば分かるか/政策の評価はほとんど行われていない/自殺対策を担っているのは誰か/効果の検証をするために何が必要か/誰がダメなのか?/効果の検証や政策の改善は協働しないとできない/おわりに──あなたに何ができるのか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

たかこ

58
自殺がおこるシステム、自殺の歴史的なところから、「死にたい」と言われたら、「死にたい」と思ったら、と自殺を幅広く学術的に解説してくれている。自殺の潜在能力、所属感の減弱、負担感の知覚、この3つの要因が合わさったときに自殺の危険性が高まる。逆に言えば、この要因のひとつだけでも減らせば自殺の危険性は下がる。理論をしっかり学ぶと、自殺の複雑な現象の見通しが良くなる、そして世界を見る見方を変えることができる。「幸福で死にたくなりづらい社会」を作ること。小さなことでも、行動を起こすと誰かの助けになるのかも。2023/07/14

テト

34
なぜ人間は自殺をするのかを考えたときに、やはり様々な要因があり、個の中で何が起きているのかわからない場合が多かったり、その場の状況によるヒューリスティックな意志決定が関わり、変動の中の複雑系の世界を感じる。さらに、遺された人間の感情も計り知れない。今は不完全であり、今以上に、幸せな世の中を絶えず考えて、適切に必要な過程をそれぞれにやり続けていくことの大切さが明らかに存在していた。2023/08/24

タルシル📖ヨムノスキー

31
あなたはマジで「死にたい」と思ったことはありますか?私は何度かあります。結局行動には移さなかった、いや移せなかったけど。この本はただ「自殺はダメ!」という内容ではなく、自殺に至る心のメカニズムから、身近な人に「死にたい」と言われたら、また自分が「死にたい」と思った時の対策にも触れられています。驚くのは「自殺は悪いことなのか」ということにまで触れていること(自殺を肯定しているわけではありません)。大切なのは周囲との関わりと自己肯定感。一つ驚いたのは、学生の自殺の原因の一位が「いじめ」ではなかったということ。2023/07/14

今庄和恵@マチカドホケン室コネクトロン

25
死にたい人のためではなく、死にたいと言われた人のために書かれたもののようですが、もちろん死にたい人が読んでも得るものは多々だけど、中に書かれていたように死にたいと思っている人が果たしてこれを読んでその内容を受け取れるかどうか。死にたいと思う状況はまともではない、いわば素面ではない状況、素面になれれば命を断つことだけが解決策ではないと目を覚すことができる。その”素面になる”ための考え方のアドバイス。死にたいと思う人には119番より110番ってのは全く思いもつかなかった。2023/06/30

ホシ

23
この職に就いて10数年。この間に教え子が極端な選択を選ぶという経験を3回しました。1人は妙だなと思う出来事もあったのですが、まさかそれが自死のサインだとは気づかず…。悔やまれてなりません。外国人の私に「◯にたい」なんて言う学生はいないでしょうが、それでも学生の胸中に思いを致す教員でありたいと思い、読みました。本書の主張通り、自死対策は精神医療に携わる関係者のみならず、私たち一人ひとりが向き合うべきです。「私には出来ない事」もしっかり自覚し、それでも「傍にいるよ」というメッセージを出し続けたいですね。2023/11/11

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