出版社内容情報
湊かなえの選ぶ「ミステリ作家」乱歩の相貌
謎めくパズラー「湖畔亭事件」「赤い部屋」「心理試験」他。ミステリ作家・乱歩に焦点を当てる乱歩没後50年記念アンソロジー。
内容説明
江戸川乱歩の没後50年を記念する傑作選、湊かなえ編の本書では挑戦的なミステリ作家・乱歩に焦点を当てる。避暑先の旅館でレンズ越しに目撃した殺人をめぐり、謎めいた結末を迎える中編「湖畔亭事件」を中心に、人工美と遊戯性の極致「赤い部屋」、名作「心理試験」他を収録。
著者等紹介
江戸川乱歩[エドガワランポ]
1894(明治27)年‐1965(昭和40)年。本名は平井太郎。1923(大正12)年『二銭銅貨』でデビュー。初代日本推理作家協会会長を務めるなど、日本探偵小説の第一人者として活躍した
湊かなえ[ミナトカナエ]
広島県生まれ。2007年「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞。08年、同作を収録したデビュー作『告白』が刊行され、同年の「週刊文春ミステリーベスト10」国内部門第1位に選出、09年第6回本屋大賞を受賞。12年、「望郷、海の星」で第65回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nobby
114
文春文庫版傑作選3つのうち《鏡》。湊さんセレクトは本格推理ものを集めた中短編7篇。そのきっかけが未だに解けない「湖畔亭事件」最後の謎の公開調査依頼ってのが面白い(笑)既読の「石榴」「心理試験」「赤い部屋」でのラスト期待通りのひっくり返しは爽快!初読の「何者」が見取図とかワクワクさせられながらの真打ち登場にニヤリ!珍しくも真犯人は的中♬それでもやっぱり一番は「人間椅子」一度読めば絶対に忘れないであろう変態的思考は分かって読んでも迫り来る嫌悪にゾクゾクする...そして僕の周りに豪華な椅子がないことに安堵...2023/07/02
優希
48
イヤミスの女王が選んだ乱歩作品なので、どれもいい意味で嫌な気分になります。猟奇的な作品もあれば、じわじわと沈み込んでいくような作品もある。面白かったです。2022/06/20
橘
37
既読の作品が多かったですが楽しく読みました。「赤い部屋」「人間椅子」がやっぱり好き。わたしも、乱歩の長編で一番好きなのは「孤島の鬼」です。作家さんが選ぶ乱歩作品も興味深いです、他のシリーズも読みたいです。2016/11/27
天の川
30
久々の乱歩。「人間椅子」の変質狂的な淫靡な世界。当時としては斬新な作品だっただろう「心理試験」…懐かしく読んだけれど、今回、印象に残ったのは推理小説や幻想小説の要素は全くない「木馬は廻る」だった。回転木馬の音楽を担当する貧しい老ラッパ吹き。想いを寄せる十八の娘も又、若さだけが取り柄の貧しい娘。彼がラッパで吹く回転木馬のメロディーが「戦友」なのも、うら寂しさを増幅し、何だかやるせない気持ちになった。2016/11/19
ひろ
28
鏡、という題だけれども、それにとらわれず乱歩のミステリとしての趣の強い作品を集めた印象。読者に語りかけながらじわじわと進んでいく展開はやはり唯一無二の面白さ。明智小五郎が登場したときの高揚は、まさに名探偵かくあるべきといったところ。未読の作品が多くどれも楽しめたが、「石榴」はその題の意味合いからして良い。2019/07/13