内容説明
僕たちの青春は、まだはじまったばかりだ――。
三雨の事件に決着をつけ、正式に衣緒花と付き合うようになった有葉。
穏やかな日常を過ごす中、行方不明だった姉・夜見子が眼帯姿で帰ってくる。そんなある日、夜見子がロズィに悪魔が憑いていることを看破する。
「見ての通りよ。その子、悪魔に憑かれてる」
病を振りまく〈犬〉の悪魔に憑かれたロズィの心に向き合う有葉。一方で、有葉と離れて過ごす衣緒花の心にも変化が起こっていく。
すべてが絡み合い、〈アオハル〉は予想外の結末へ――!
目次
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序章 ゴーイング・アウト
第1章 豚肉とトマトのバルサミコ風味スパゲッティ
第2章 ただいま、そして、はじめまして
第3章 6駅12分のラプンツェル
第4章 ピラルクはドーナツではない
第5章 鳴らないララバイ
第6章 ヤングレディとビッグガール
第7章 千の顔を持つ英雄
第8章 あのときふたりで見た星空
第9章 迷える羊、岸壁の山羊
第10章 アオハルデビル
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
32
三雨の事件に決着をつけ、正式に衣緒花と付き合うようになった有葉。穏やかな日常を過ごす中、行方不明だった姉・夜見子が眼帯姿で帰ってくる第三弾。ロズィに悪魔が憑いていることを看破した夜見子。病を振りまく〈犬〉の悪魔に憑かれたロズィに寄り添いその心に向き合う有葉。一方で、有葉と離れて過ごしていた衣緒花に徐々に起こっていく心境の変化。なぜこのタイミングで姉・夜見子が帰ってきたのか。ずっと感じていた違和感がその過去も絡めながら明らかになる展開で、思ってもみなかった真相から諦めずに引き寄せた結末がとても素敵でしたね。2023/06/09
オセロ
26
三雨の悪魔を祓うことに成功し、衣緒花と付き合うことになった有葉。そんな順風満帆な生活を送る中で3年間姿を眩ませた有葉の姉である夜見子が突然現れ、ロズィが悪魔に取り憑かれていることを見破ったことで有葉を取り巻く環境が一変する…。 ロズィに取り憑いた悪魔を祓う為にロズィの願いを考えることで浮かび上がる“有葉はどうして悪魔に取り憑かれないのか”などの数々の疑問。有葉と夜見子の壮絶な過去を絡ませながら、衣緒花と夜見子、そして有葉の譲れない願いがぶつかり合って新たな青春の形を見つけるラストはグッときましたね。2023/06/09
真白優樹
15
ロズィの周りで体調不良が頻発する中、三年ぶりに帰還した姉、夜見子が憑りついた悪魔を暴き出す今巻。―――例えそこにあるのが何だとしても、想いがあるなら青春がある。 ロズィに憑りついた悪魔、そして有葉の秘密に触れ、様々な謎を解き明かす中で大人の思いと青春がぶつかり合う巻であり、青春が真っ直ぐにぶつかり合っているからこそ面白い巻である。課されたのは生きると言う事、見つけたのは自分だけの夢。確かな一歩を刻んで確かに歩き出していく青春。その先に待っているのはきっと、幸福なのだろう。 うん、面白かった。2023/06/12
ほたる
12
章題がとても良い。今回はまさか予想外のところから攻めてこられて唖然茫然とし鳥肌が立った。青春に悪魔は憑き物ということで、それぞれが苦しみながらも前に進んだ良い物語でした。これで終わりなのかな。続きでも別作品でもまたどこかで読めたら良いなと思っている。2023/06/10
椎名
11
これで完結かな。綺麗に纏めていたとはいえ、まだ続く予定だったものを詰め込んだような駆け足さを感じてしまったのが残念だが、ロズィの問題、そしてやりたいことが、願いがない有葉の根本的な問題と上手く絡めていたのは上手い。ロズィの母親の内面がただのツンツン女子中学生だったのがとても可愛くて気が抜けたシーンで良い。終盤は想像以上にダークな展開だったが、あくまで青春ものとして続いていくためのラストも良かった。お疲れさまでした。2023/06/24