内容説明
多くの犠牲者が出た1998年度の〈災厄〉から三年。――春から夜見山北中学三年三組の一員となる生徒の中には、三年前の夏、見崎鳴と出会った少年・想の姿があった。〈死者〉がクラスにまぎれこむ、という奇怪な〈現象〉に備えて、今年度は特別な〈対策〉を講じる想たち。だが、クラスに広がる不安と疑心が次第に歯車を狂わせていき……ついに惨劇の幕が開く! 名手・綾辻行人が満を持して放つ、圧巻の学園ホラー&ミステリ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
348
エピソードSで登場した想が今度の主人公。これがあるから先の作品は読んでからの方がいいということらしいが、エピソードSでの出来事自体は今作に何もリンクしなさそうで、想のお披露目以上の意味合いはなかった模様。上巻はかなりスローな進行で、なかなか現象が発動しないまま、中途半端な対策を論じる場面が長かったり、校外では普通に想や葉住が同級生とコンタクトとっているため、緊迫感がなく進行。この頃の綾辻氏は筆が遅いうえに、本当にまとまりがない。下巻で相当なインパクトを残してくれないとホラーとしても厳しい。2024/07/09
イアン
148
ホラー・ミステリの白眉『Another』の3年後を描いた続編。呪われし夜見山北中学三年三組。ひとたび始まると毎月1人以上クラスメイトの〝関係者〟が死ぬという〈災厄〉を防ぐため、比良塚想は自ら〈いないもの〉に名乗りを上げるが――。想は3年前の経験者・見崎鳴らの協力を仰ぎながら、〈災厄〉を止めることができるのか。前作が既読であれば〈災厄〉を終息させる方法は自明であり、綾辻行人ともあろう者が前作をなぞるだけの作品に900ページ超を費やすとは思えない。如何にして読者を騙すのか、その点に注目しながら下巻へ進みます。2025/07/07
相田うえお
87
★★★★☆23071【Another 2001(上) (綾辻 行人さん)】Another〜AnotherエピソードSの物凄く強烈なインパクトに圧倒されたのもあってAnother2001を読み始めるのが楽しみでだったんです。でも勿体無かったので暫く積んでたんですよね。本作品も想像以上に度肝を抜かれました。当方の限界を超えてます。やはり『ある年』は始まってしまったのですね〜(ま、『ない年』を小説にしても、しゃ〜ないけど)起こり得ないことが起こる怖さ、計り知れません。ラスト!とうとう厄が来ましたよ〜。後半へ〜!2023/11/02
HANA
76
前作から三年の時を経て、三年三組に再び「現象」が起きてクラスは濃厚な死の香りに包まれる。前作を読んでいるのでそれへの対処を読者は知っているのに、関係者は知らないというのがまずポイント。前作とは逆にどういう風にそれを見つけるかというのが倒叙形ミステリみたいで興味をそそられる。また誰が「それ」に当たるのかというのも、読者だけがわかる仕組みに。将来の悲劇がもう目に見えるようである。本巻では本格的な災厄が訪れる前だというのに、もう目が離せなくなってしまった。いよいよ事件が起きたところで下巻に。続きが本当に楽しみ。2023/07/10
えみ
69
あぁ、またやってきてしまった夜見山北中学校3年3組の〈厄災〉が…。今でも詳細を思い出せるほど『Another』の衝撃は凄かったが、今回も負けず劣らず最凶の予感しかしない。『Another』『AnotherエピソードS』に続く3年後の恐怖を描く学園ホラー。思い出す、あの人の最期を…。そしたまた「ある年」がやってくる。死者がクラスに紛れこむことで起こる人の死を招く〈超自然的自然災害〉の数々。対策を講じても迫りくる絶望。3年3組の生徒である想は〈厄災〉を食い止めるため自ら「いないもの」となったはずだったが…。2023/06/18