内容説明
人はなぜ「生」に執着し「色」に執着するのか。幼少時代の誦読と棚経を回想、一休和尚や正眼国師(盤珪禅師)の訳や解釈を学び直し、原点から人間の性を見つめ直す。色と欲に煩悶した日々を顧み、生き身のありがたさ、女性は弥勒菩薩など独自の境地に辿り着く。愚かさを見すえ、人間の真実に迫る水上版「色即是空」。<解説>高橋孝次
「般若心経」全文
序 章 「まかはんにゃはらみたしんぎょう」
第一章 漢字「般若心経」にめぐりあう
第二章 正眼国師の『心経抄』と私
第三章 一切は「空」である
第四章 私版「色即是空」の世界
第五章 一休における「色即是空」の世界
第六章 死して百日紅や椿の花となる
第七章 不浄を美しいと思うときもある
第八章 六根・六塵の本体は無である
第九章 無明とは何か
第十章 四苦八苦を成敗するには
第十一章 のたうちまわって生きるしかない
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ネジ
34
★★★★☆ 著者の人生経験に基づく般若心経の解釈、感想。著者が感じた存在、苦しみは般若心経によれば無いものとされることに納得がいっていないと主張しており、潔いと思った。 ①障害を持って生まれた娘の事を思い、苦しみも空とした般若心経をそのまま受け入れることはできなかったら。 ②般若心経を唱える今日の僧侶が社会に執着している事に矛盾を感じた。 ③(私見)般若心経は理想としつつも、凡庸を愛するのも悪くはないのであろう。2023/12/10
Minamihama
14
般若心経、一番短いお経なので読んでみようかと思い立ち、たまたま手に取った本。 水上勉という人はすごい人だ、色々な先人の般若心経解説書を読まれていて、それでも凡人の私には承服できない、と、自分の経験を挙げて言っておられる。 この様な解説書にたまたま出会えたことに感謝。 2023/05/28