内容説明
地図上の空白地帯が失われてしまった現在も、文明の侵食を許さない隔絶された土地は存在する。ヒマラヤの高山氷河、アマゾン源流の大瀑布、アフリカ最奥部の密林地帯――人の手が地球上の隅々にまで及ぼうとするなか、厳しくも美しいこれら辺境こそ、豊かな自然の最後の砦だと言えよう。日本を代表する自然写真家が半世紀にわたって追い求めてきた最後の辺境を、見る者の心を強く揺さぶる写真で紹介する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
102
著者は写真家。世界の辺境を歩き写真とともにその解説が書かれている。辺境・・・この言葉が今使われる場所はほんとうに少なくなっている。シベリア、アマゾン、アフリカの奥地まで人の手が及んでいる。この本が出版されたのは2017年、著者がその土地を歩いたのはもう20年近く前の場所もある。このときから自然の状態は確実に悪くなっていると思う。ジャングルは開かれ温暖化で凍土は溶け山火事が襲う。人は自然の中にいるはずなのに人は我々の住む自然自体を破壊している。今頃になって温暖化対策を唱えている。人は愚か者に違いない。2022/10/20
ホークス
36
未知な要素のある場所を著者は辺境と呼ぶ。本書の半分は、著者が高山や極地などに分け入り撮ってきた写真の数々。1979年のカラコルム周辺の写真群が特に素晴らしい。牙のようにそそり立ち凍てついた山々は、厳しく人間を拒む。この世ならぬ色彩は、選び抜かれた角度とタイミングによるもの。異世界に来たという実感がある。南西アラスカの巨木ジャイアントセコイアは、自重によって根元が異様に盛り上がる。巨獣がうずくまっている様な不気味さがしっかり固定されている。写真は芸術だと改めて思い知った。2019/12/04
雲をみるひと
32
作者が巡った世界の景勝地が写真と共に紹介されている本。写真もよいが、作者の体験が綴られた文章も説得力がある。必ずしも著名な場所だけを取り上げているわけではないところもよい。2022/06/27
鮭
11
現代においても未開拓の辺境というのは存在する。本書は40年前から2000年代までの辺境をカラー写真と共に追う一冊である。個人的に一番印象的なのは南米のイグアスの滝。かつてスペイン人が大地が裂けていると考えたのも納得の壮大さである。滝の巨大さからそこだけ気候が変化するのも面白い。ブルックス山脈の森林限界もファンタジーの世界を体現する森があり、実に面白い。我々が神秘の世界と感じているものはつい数百年前までは目の前にあったのだと思わされる。2018/08/12
sasha
10
行ったことあるぞ~。アメリカのオリンピック国立公園とロシアのバイカル湖は。バイカル湖へはすっごくくだらない理由で行ったが、冬だったので痛いくらいに寒かった。本書は紀行文と言うには文章少なめなので、写真を見る為の補助くらいに捉えた方がいいかも。キリマンジャロの氷河、アラスカの森林限界、イグアスの滝。迫力のある写真が多かった。環境や気候の変動で、手付かずの自然もいつかは失われるのかと思うと貴重な写真かも。2018/02/05
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