内容説明
盲目の女の子とわは、大好きな母と二人暮らし。母が言葉を、庭の植物が四季を、鳥の合唱団が朝の訪れを教えてくれた。でもある日、母がいなくなり……それから何年経っただろう。壮絶な孤独の闇を抜け、とわは自分の人生を歩き出す。おいしいご飯、沢山の本、大切な友人、一夏の恋、そしてあの家の庭。盲導犬ジョイと切り拓いた世界は眩い光と愛に満ちていた。涙と生きる力が溢れ出す感動長編。(解説・平松洋子)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
300
『目が見えない』という主人公のとわが母親と暮らした「とわの庭」のある家から『新しい人生』へと歩み出していく先が描かれたこの作品。そこには『見えない』という日常をプラスに捉えていくとわの姿が描かれていました。『聴覚や嗅覚、触覚など他の感覚を駆使』したリアルな感覚が描かれたこの作品。衝撃の前提設定がとわの前向きな姿勢に衝撃でなくなっていくこの作品。闇の中を彷徨う前半の物語と、眩い光が指すあたたかい後半の物語の落差を感じる物語の中に、『目が見えない』とわの日常を丁寧に描き出した小川さんの上手さを見る作品でした。2023/11/07
Major
158
現在ネグレクトにより家から出られない子供たちがおよそ3万5千人いる— 「とわ、ゴミ屋敷の暗闇から僕達が共に紡いだ「再生と救い」を覚えている?歪んだ愛を抜け出し、僕を相棒に外の世界へ一歩を踏み出したね。君の豊かな『五感の描写』と温かい『食』の日常が僕達の確かな絆。社会との温かい連帯で、過去は輝く未来へ。君の「生きているって、すごいことなんだねぇ」という言葉は僕の宝物。これからも大切な親友として、ずっと隣で一緒に歩んでいこう。— とわへ、連帯の光の下ならば、苦しい人生から誰でも再生できるんだよ。」—ジョイより2026/08/17
あすなろ@no book, no life.
132
小川氏の描く生きるという事。生は優しく温かく明るく、そして救われるものだと自然を書き込みながら告げてくれる。改めてそれを気付かせてくれた本作。正直、リムジン…よりこちらの方が僕には胸迫ったのである。自然や人に揺蕩う様な温もりを感じ、生きている事を喜べ希望を持たされながら落涙するという小川氏の描写する生がここにある。壮絶な幼少であったとわが生き延びて救われ立ち上がって行く様と共に頁を捲らせる。とわ改め十和子の今後に幸あれと願わぬ読者は居ないであろう。読んで良かったと今後も記憶に強く残る筈の一冊であった。2025/03/29
サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥
104
【2026-125/図書館本-79】2026年新潮文庫の100冊。母と二人きりで暮らしていた盲目の少女とわの物語。全盲の少女がネグレクトされ、ごみ屋敷で何年も一人で生き延びるという極限状態の描写に対し、いくら小説の演出とはいえ、リアリティが著しく欠けている。一転して凄惨な前半を過ごした割には、救出された後の社会復帰や周囲の人々の善意、そして盲導犬との生活があまりにもスムーズかつ綺麗にまとまりすぎて物語の展開がご都合主義的になっている。5戦1分4敗、やっぱりこの人の作品は私には合わない。★★2026/09/07
あきぽん
99
とにかくヒロインの純真さが胸をうつ。「酷い」境遇で育った彼女の幸せ感度は何と尊いことか。心が美しければ、世界は美しい…かつて貧しく障がい者だが彼女のように純真無垢な友人がいた。そして母と2人暮らしが長い自分には、来るべき日についていろいろ考えさせられる。2024/07/30




