内容説明
人が死ぬ際に残す珠「ぎょらん」。噛み潰せば、死者の最期の願いがわかるのだという。地方都市の葬儀会社に勤める元引きこもり青年・朱鷺は、ある理由から都市伝説めいたこの珠の真相を調べ続けていた。「ぎょらん」をきっかけに交わり始める様々な生。死者への後悔を抱えた彼らに珠は何を告げるのか。傷ついた魂の再生を圧倒的筆力で描く7編の連作集。文庫書き下ろし「赤はこれからも」収録。(解説・壇蜜)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
bunmei
357
人々の心に温かな燈を灯すような町田作品。本作も『死』という人が生まれ持つ悲しい運命(さだめ)をテーマとし、その死に立ち合った人々の悲哀を描きながらも、その死が持つ意味を見出していく物語。遺されて傷ついた者達の心を癒し、新たな道へと歩み出そうとするような、心温まる7つの作品が収録されている。また、各々の作品の舞台や登場人物に少しずつ関りを持たせ、死者の傍らに現れ、最後の願いがわかるという『ぎょらん』の発見によって物語を繋ぐ事で、感動的な長編の様な感覚で読み進めた。どれも、涙腺が緩みっぱなしの作品ばかりだ。2023/09/08
Kazuko Ohta
249
先月から危篤状態が続いていた母。今朝病院から「意識が低下して呼吸が浅くなっている」と連絡があり、駆けつけました。それからおよそ1時間半、眠るように母逝く。母の手を握りながらいろんな話をして、あと50頁ほどだった本作を開き、「お母さん、これな、人が死ぬときに遺す珠の話やねん」とぽつぽつ声に出して読みながら過ごしていたら、ちょうど全部読み終わりそうになったときに、母の心拍数がゼロに近づきました。「お母さん、ありがとう」と言ったら、スーッと涙ひと筋。聞こえていたならいいなぁ。明後日のお葬式ではぎょらんを探すよ。2024/04/11
エドワード
230
人が死ぬ時に残す赤い珠「ぎょらん」。それを口にすれば、死者の最期の言葉を聞くことが出来る。ニートで漫画おたくの御舟朱鷺を軸に、彼の家族、彼が働き始めた葬儀社の人々等が見聞する、死者の本当の想い。朱鷺の妹・華子の恋人。ジャングルジムに首がひっかかった子供。老人施設の身寄りのない女性―彼女の過去が明らかになる過程が印象的だ。朱鷺の中学時代の友人、そして朱鷺と華子の母。これは、人間と人間の本当の関係を紐解いていく小説だ。死者の真実の心を知るのは怖い。ぎょらんなんか本当は無いことに安堵している私がいる。2023/07/27
のり
226
死者が残すと言われる赤い玉。それは「ぎょらん」と呼ばれる物。それを食すれば死者の最後の思いがわかるという。それは決して残された者が喜ばしく感じる事だけではない。逆にその思いに囚われてしまう事が多々ある。「朱鷺」もそんな一人だ。あまりにも重すぎる事態に苦しみ続ける事になる。そんな過程で他者の出来事にも遭遇して「ぎょらん」の根本を探る新たな道を進む。圧倒的な思いと折り合いをつけ、再生を祈る。2023/11/30
Karl Heintz Schneider
159
以前ご紹介した「夜明けのはざま」を読んだ多くの方が感想に「ぎょらん」の続編?と書いていた。ずっと気になってはいたのだが500ページ超の厚みに臆し、伸ばし伸ばしになりつつ、意を決して手に取ってみたが葬儀社が舞台という一点以外は全く異なる物語だった。基本ファンタジーでありながら、あまりそれを感じさせない。亡くなった人が伝えたかった想いの結晶がそれを伝えたかった人にだけ見えるのだとしたら、そんな奇跡があってもいいとすら思える。ただ、「ぎょらん」というネーミングはいかがなものか。「珠玉」とかの方が良かったのでは?2024/04/08
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