内容説明
いまや中東の地は、ヨーロッパへ世界へと難民、テロを拡散する「蓋のないパンドラの箱」と化している。列強によって無理やり引かれた国境線こそが、その混乱を運命づけたとする説が今日では主流だ。しかし、中東の歴史と現実、複雑な国家間の関係を深く知らなければ、決して正解には至れない。危機の本質を捉える緊急出版!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
85
そもそも秘密外交協定でありながら、こんなに名前が売れてるのも珍しい。 あまりにも混乱した地域なので、読んでて混乱してきた。 映画”アラビアのロレンス”はとても深い台本だそうです。良い映画ですもんね。 この協定の名が有名になった一因。(最大原因はロシア革命後ボリシェヴィキが暴露したこと)2021/06/09
井上裕紀男
40
敢えてイングランドと呼びたいが、かの国が得意の複数枚舌外交で中東を混乱させた協定だけでなく、同時代に進んだ複数の条約とオスマン帝国の衰退を絡めて中東地域について詳述。 仏・露・伊・ギリシャと露土戦争が話に入ってくるから複雑で地図が必須。終戦後の日本も大国に分割されそうになっただけに、人間の欲深さに恐怖しかない。 〇〇人はどこで決める?「言語?」「居住地域?」「宗教?」、決められないから1923年の住民交換の悲劇も生じる。 独立すれど統治できずの国が今もある中、本書は人と国を考えるヒントをくれます。2021/04/10
香菜子(かなこ・Kanako)
40
【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛。池内恵先生の著書。現代の中東問題の根源は遥か昔にイギリスとフランスとロシアによって結ばれた秘密協定にある。中東問題、イスラム問題、イスラム国問題は多くの人にとって理解するのが難しい問題だけれど、本書を通じてこのような問題が発生している歴史的な背景を学べます。2018/12/13
川越読書旅団
34
昨今の中東の騒がしさの元凶を探るべく購入。約100年前のオスマン帝国崩壊時に締結されたサイクス=ピコ協定、建前上中東の秩序を構築、また維持するための協定、しかし内情は、大国間同士のエゴの折衷案。難民問題やイスラーム国の出現等、これまでにない大きなうねりを見せ始めた昨今の同地域、核心をつく新秩序形成策(協定)が必要なのか。2021/11/21
James Hayashi
31
1916年英仏に寄るオスマン帝国後の中東の支配権確立を目指したサイクスピコ協定。世界史でこの記述があったかどうか記憶にない(山川用語集では記述がない教科書もあるらしい)。取り敢えず中東問題を語る上で基礎になる言葉。日本のように海で隔てられた地域でなく、大陸上で民族宗教言語など複雑に絡み合いパッチワークのような存在を英仏(露)が分断の源をもたらした。期待していたものと異なっていたので流し読みだが全アラブを見るとこの協定だけではカバーしきれてない。他の中東問題を触れた時、もう一度読み返えすといいかもしれない。2017/05/31
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