内容説明
『常識のない喫茶店』著者・僕のマリの、原点。
『常識のない喫茶店』著者・僕のマリの、原点。
秘めながら漏れ出す激情の奔流。
こんなにドキドキするエッセイ、他にない。
わたしはずっと、君みたいになりたかった。
【著者】
僕のマリ
文筆家。一九九二年、福岡県生まれ。著書に『常識のない喫茶店』『書きたい生活』(ともに柏書房)『まばゆい』(本屋lighthouse)がある。また、自主制作の日記本も発行している。
目次
ひかりのうた
忘れる練習
何が
天使の背中
スリムなわたしのかわいい骨
花の墓標
リノちゃん
愚かな
祝福
ディズニーランドのホテルのロビーで
ファストフードに駆ける
豚ロースを隠す
わたしと(の)料理
素うどんとハーゲンダッツ
笛を落とす
吸収と放出(一)
占いなんかで
吸収と放出(二)
寿司とビール
吸収と放出(三)
春だった
吸収と放出(四)
確かに恋だった
白いレースのひらひらの
金星
加速し続ける
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あつこんぐ
35
図書館本。うちにもADHD(疑)の子がいるので、ADHDを苦にして自ら命をたった青年の話は心が痛くてたまりませんでした。そして、過去の自分を振り返り私にも発達障害があるんだろうなぁと思います。集団行動があまり好きじゃなかった自分、何も考えずにポロッと人の傷付くことを言ってしまう自分など学生時代のあれやこれやを思い出し「あー、イタイ、イタイ、イタイ…」と心をヒリヒリさせながら読みました。でも、自分が表現出来なかった気持ちがここには書かれていて、昔の自分に読ませてあげたかった1冊です。マリさん、ありがとう。2024/10/28
R子
19
表紙に引用されている「家族にも友人にも本音を言うのが苦手だった。何年生きても薄い関係しか築けないのが、ずっとコンプレックスだった。自分を晒すことにどうしても抵抗があり、踏み込むのも踏み込まれるのも躊躇した。(以下略)」の言葉に惹かれて。私自身の長年のコンプレックスでもあり、同じ後ろめたさ、寂しさを抱えて生きてきた人がいたのだと安堵した。仕事を辞めるときや、恋人と別れるとき等の決断が自己完結で、驚かれたり、冷たいと言われたりするエピソードが身につまされる。2024/02/18
kei-zu
19
エッセー集「常識のない喫茶店」た楽しませていただいた著者「僕のマリ」さんの新刊。とはいっても、著者の商業デビュー以前の私家版に書下ろしを追加をしたもの。 「書く」自覚は、かくも激烈なものなのか。「「まだ無名だし、売れてもいないけど」と照れ隠し、でも、「報われたと思った」と言ってからは、本当に、普通に喋るのが難しかった」(81頁) 著者の感性の鋭さは、読者の気持ちを揺さぶる。2023/10/02
yuui
13
音楽がほんとに好きやったんやろなと♪ 得意不得意関わらず何事にも一生懸命な僕のマリさん素敵でしたね。 天使の背中の萌ちゃんが今も幸せであります様に2024/07/25
あんず
9
文章の中に喜びも、切なさも、怒りも全部詰め込められていて、それが僕のマリさんにしか表現できないような独特な文体で書かれていて、私はすっかりファンになってしまった。過去の痛みについて書かれていることが多い。高校や吹奏楽も、軽音楽部も、私も同じように過ごしてきたし、世代が同じだからか、わかることが多すぎて途中で叫び出したくなった。モーモールルギャバン、ミドリが出てきた時は本当に懐かしさとその当時の少し暗かった思い出もついてきて、歯痒かった。一冊、丸ごとなんだか自分の過去の痛みに向き合えたようなエッセイだった。2024/06/16