内容説明
巨大戦闘機械に男女ペアで乗り組み、メカ生物と戦う華夏の国。村娘の則天はそのパイロットに志願するが!? 英国SF協会賞受賞作
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Mc6ρ助
20
『この無理無体なやり口から学んだのは、人生のたいていの問題は金で解決できるということだ。解決できなかったら金がたりなかったのだ。(p257)』『でも官僚登用試験である科挙はとても不公平な制度で、貴族や金持ちのような名門家庭の出身でなければ実質的に合格は望めない。(p246)』金言・箴言一杯なこのSF、仕事にケアにと獅子奮迅の働きを求められる日本のお母さん達のコインの裏側たる爺さまは、この日本よりもまだ近代以前な舞台背景に唖然・慄然としてしまったよ。続編への期待はロボット・アニメしかないのかしらん?2024/01/15
さとうしん
18
中華風エヴァンゲリオンといった趣のロボット物。作中のキャラクター名には出典があるが、それが設定や展開とうまくマッチしている。また現代社会のジェンダーに関する問題も作中にトレースされていて、それが物語の核心となっている。これが日本でアニメ化されるとしたら、特に受け手の側の嗜好や思想信条のゆえに、その核心部分が魔改造されることになるのではないか?(そして自由がないとされる中国では却って核心を魔改造することなく映像化できるかもしれない)2023/05/27
もち
17
「ずっと待っていた。出撃のたびに祈っていた」◆異種生命体に対し、人類は男女ペアで乗り込む戦闘機械で抗っていた。女性はほぼ使い捨てだが、村娘の則天は復讐のため軍に志願。悪夢を見せてやる――。その反骨は、いずれ世界を手に入れる。■開幕100p強で迎える山場に唖然。蔓延る男尊女卑を中華世界で冷徹に描きつつ、囚われのエース、纏足の九尾、軛のない恋愛、200年前の名機など、キャッチ―な要素で牽引。終盤ではSFらしい、認知を穿つどんでん返しも待ち受ける。2023/06/03
本の蟲
16
早川の公式刊行予定より先に、邦訳版表紙が海外で話題になって知った本作。アニメ『ダリフラ』に着想を得たという異星兵器と戦う男女複座型ロボSF。遥か未来が舞台だが、五行思想、陰陽の気で動く神獣を模した機体。登場人物の名やモデルも中国史の英雄豪傑という中華風世界。複座と言っても女性は男性の慰み者、気を搾り取られる使い捨て電池代わりの圧倒的男尊女卑。姉の復讐のため妾女パイロットに志願した主人公。その下剋上と三角関係。2世紀前に行方が消えた皇帝将軍秦政と世界の秘密。驚天動地の引きで次巻へ続く。めちゃ面白い(続2023/06/10
羊山羊
15
クソデカロボットに男女が乗りつつ戦うバディSF!ストーリーの骨格は完全に少女小説+冒険小説の文脈によって作られているので、割とラブロマンス要素が強くて、主人公則天の心の移ろいにガンガン引き込まれる。 読む時の自分のメンタルが弱ってるせいか引き込まれず。ちょっと悔しい。2023/09/29