女性と闘争 - 雑誌「女人芸術」と一九三〇年前後の文化生産

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女性と闘争 - 雑誌「女人芸術」と一九三〇年前後の文化生産

  • 著者名:飯田祐子/中谷いずみ
  • 価格 ¥3,080(本体¥2,800)
  • 青弓社(2023/05発売)
  • ポイント 28pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784787234537

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内容説明

モダニズムと左翼思想が隆盛する一方、恐慌や戦争によって不安定な時代に突入した1930年前後。男性の知識人や表現者の活動がこれまで注目されてきたが、同時代の女性たちもまた、多様な闘いの声を上げていた。 
 
1928年から32年まで発行された雑誌「女人芸術」に集結した女性知識人やプロ・アマを問わない表現者に光を当て、彼女たちの自己表現、階級闘争、フェミニズムとの複雑な関係を浮き彫りにする。

東アジアにおける展開も視野に入れ、文学・批評・論争などの文化実践、また政治運動における表現活動をとおして、女性の闘争主体/文化生産者としての一面を明らかにする。

目次

はじめに 飯田祐子/中谷いずみ/笹尾佳代

第1部 左翼思想とジェンダー

第1章 階級闘争におけるセクシュアリティ――女性闘士たちと「愛情の問題」 中谷いずみ
 1 無産者解放運動と女性解放
 2 「貞操」をめぐるレトリック
 3 “個人的なことは政治的なことである”

コラム 洋モス争議と「女人芸術」 中谷いずみ

第2章 女性解放と恋愛至上主義との間――大正・昭和期のコロンタイ言説の受容 呉佩珍
 1 大正・昭和期の女性解放運動思潮――女性解放運動と「恋愛至上主義」
 2 「コロンタイズム」論争――ブルジョア階級?、それとも無産階級?
 3 プロレタリア文学のなかの「コロンタイズム」――高群逸枝の「黒い恋」と徳永直の「『赤い恋』以上」

コラム 一九三〇年前後の台湾の女性雑誌 張文聰

第3章 社会主義運動とモダンガール――韓国近代長篇小説の様式のある秘密 李恵鈴[相川拓也訳]
 1 韓国文学研究での近代性言説の浮上と社会主義
 2 一九三〇年前後の植民地朝鮮の社会主義運動と長篇小説
 3 植民地モダニティ、恋愛/結婚、モダンガール
 4 モダンガールと社会主義者の遭遇

コラム 一九三〇年前後の韓国の女性雑誌 孫知延

第4章 闘争の発熱――「女人芸術」のアナボル論争 飯田祐子
 1 「女人芸術」のアナボル論争
 2 女たちのアナボル論争
 3 アナとボル、水平性と垂直性
 4 発熱する女の言葉

コラム 「女人芸術」の同時代評 加島正浩

第2部 交渉する表現主体とジェンダー

第5章 目覚めの途上にあること――「女人芸術」の文学作品にみる闘争の周縁 笹尾佳代 
 1 知識人女性のプロレタリア文芸雑誌であること
 2 覚醒の物語
 3 「女人芸術」における「芸術」の位相
 4 自己変革の物語
 5 運動の周縁/共闘の困難

コラム 「女人芸術」の読者共同体 笹尾佳代

第6章 「女人芸術」のインターセクショナリティ――階級・エスニシティ・性意識と「女人芸術」のフェミニズム サラ・フレデリック
 1 交差性
 2 「女人芸術」の交差性
 3 「自伝的恋愛小説号」――「女人芸術」一九二九年三月号
 4 中本たか子「赤」――「女人芸術」一九二九年一月号
 5 大田洋子「聖母のゐる黄昏」――「女人芸術」一九二九年六月号

コラム 「女人芸術」と外部 飯田祐子

第7章 “閨秀作家”凌叔華の一九三〇年代――戦時下のセクシュアリティと創作 星野幸代
 1 戦前日本で好まれた凌叔華
 2 武漢での凌叔華とジュリアン・ベル
 3 陥落前夜の武漢における作家・凌叔華
 4 ヴァージニア・ウルフとの文通

コラム 一九三〇年前後の中国の女性雑誌 楊佳嘉

第8章 「女人芸術」創刊から廃刊、そして「輝ク」 尾形明子
 1 「女人芸術」創刊
 2 「女人芸術」の時代
 3 「女人芸術」はどうしてやめたか
 4 「輝ク」を検証するために

コラム 内なる娼婦差別を描き出すこと――若杉鳥子「古鏡」の深淵 林 葉子

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

クァベギ

1
『女人芸術』の名称は知っていたけれど、どんな記事が載っていたのかは知らなかったので、タイトルを見て興味を持った。著者のひとりフレデリックが言うように「現代の政治問題の議論や理論的問題に関しても有意義な論点が見いだしうる」ことがうかがえた。100年前に素晴らしい雑誌が作られていたことに感銘を受けた。2022/11/04

澄川石狩掾

0
コロンタイの社会主義化による自由恋愛論とその受容が興味深かった。2021/06/01

URYY

0
飯田論文が熱い。高群逸枝、再読したいな。同時に栗田隆子『ぼそぼそ声のフェミニズム』を読んだのだが、1930年代の闘争、2000年代の「運動」、ともにわだかまるものが共振してしばし茫然。がんばろう。2019/06/12

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