内容説明
過保護に育てられたレデヴン館の相続人ビル・レデヴン少年は、同年代の少女のいる知人宅で休暇を過ごすよう親に命じられ、気乗りしないまま、シルバーのロールスロイスに乗せられ目的地に向かっていた。ところが、霧が濃くたちこめた荒れ地の途中で、いきなり、意味も分からないまま、お抱え運転手のブランドンに車からつまみ出されてしまう。同じころ、周到な計画のもとに、〈ナイフ〉と呼ばれる若者がボースタル少年院から逃亡する。
ビルは荒れ地をさまよううちに少年パッチと知り合い、行動をともにするようになる。二人はビルが思わぬ形で手に入れた暗号で書かれた文書を解読しながら、〈にやついた若者〉、〈ヴァイオリン〉、片手が鉤爪の男との、追いつ追われつの冒険へと踏み出してゆく。
オールタイムベスト級の傑作を次々と発表し、いわゆる英国ミステリ小説の黄金時代最後の作家としてゆるぎない地位を築いたクリスチアナ・ブランドが、すべての少年少女のために、みずみずしい筆致で、荒涼とした大地と海が広がるイギリス南部のダートムアを舞台に繰り広げられる冒険を描いたジュヴナイルの傑作。
装訂・シリーズロゴデザイン=坂野公一(welle design)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
雪紫
50
ブランドのジュブナイル初訳(「疑惑の霧」とは関係ありません)。霧の中、車からひとりの少年が豹変した運転手から締め出される。時を同じくして少年院を脱走した凶悪犯と間違われたり、不思議な出会いをしたり、命を狙われたり。スリル満載で悪党達の殺意が強過ぎる。いや、本気過ぎない。ブランド作品としてみると大人しめだけど、全然気付かなかったから驚いたし、まさかの活躍と行動にはにんまりしてしまう。2023/12/21
geshi
29
クリスチアナ・ブランドをどうしても全作読みたいという人以外にはあまりお勧めしないかな。主人公と同様に訳も分からぬまま放り出され、次から次へと襲い掛かる敵の手を搔い潜っていくジュブナイル冒険譚。暗号解読はあまり難しすぎず良くも悪くも勢い重視なので、〈にやついた男}と〈ヴァイオリン〉の行動があまりに都合よすぎてちょっと意味わからん。深く考えず冒険による成長と信頼関係をスッキリ読める作品になっている。シャム猫のサンタローズが要所要所でいい動きしていていい所をかっさらっていくのは好み。2023/04/16
のざきち
21
いかにもジュヴナイルらしい、少年たちの友情と冒険の旅。シャム猫サンタもいい味出してます。ブランド作品のコンプリートを目指す方は子供向けの本ではありますが、一読に値する作品。2023/03/18
だるま
15
山口雅也氏が製作総指揮する『奇想天外の本棚』の新刊。このシリーズはミステリに限らず奇想天外な作品なら何でも出す、というコンセプトだとの事で、今作はジュブナイルの冒険活劇。『緑は危険』や『はなれわざ』等、多くの傑作ミステリを世に出しているクリスチアナ・ブランドが著者で、ジュブナイルも幾つか書いているが、私は初めて読んだ。少年達が暗号を解読しながら冒険の旅に出る。すると様々な敵が現れて・・・というストーリー。一応暗号を解く推理物だし、大小の仕掛けもあるが、やはり主人公達に都合良く展開する様は子供向け作品だね。2023/04/02
Inzaghico (Etsuko Oshita)
6
ブランドのジュブナイル作品で、原題は”Welcome to Danger”で1949年刊行。 ジュブナイル作品なので、ブランドの十八番の毒は薄めだが、これまた十八番の荒唐無稽要素満載、そしてジュブナイルとイギリスの伝統の冒険要素満載だ。過保護なお坊ちゃまビルの成長譚かつ冒険譚。育ちのよさと頭のよさで、何度も危機を切り抜ける。旅の道連れとなった隻眼のパッチとの道中も楽しそうだ。このパッチが要所要所で機転を利かせて、ビルを助ける。 ジュブナイルということで、総ルビだ。これ、大変だったろうな。 2024/06/29
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