内容説明
多くの分野で相互依存が深まり、一国内で解決できる事柄が減る一方の今、無視できない思想となりつつあるコスモポリタニズムと、国民国家に重心を置く思想との真摯な対話を試みる中で、国民国家を超える秩序像のための理論的諸問題を整理。
目次
第1部 コスモポリタニズムの挑戦(コスモポリタニズムの思想史;J.マリタンの自然法論的コスモポリタニズム;M.ヌスバウムの共感的コスモポリタニズム;D.ヘルドのコスモポリタン・デモクラシー;J.ハーバーマスの法制的コスモポリタニズム;T・W.ポッゲの分配的コスモポリタニズム)
第2部 国民国家の側に立つ人々(C.シュミットのコスモポリタニズム批判;J.ロールズのコスモポリタニズム批判;M.ウォルツァーのコスモポリタニズム批判;D.ミラーのコスモポリタニズム批判)
著者等紹介
古賀敬太[コガケイタ]
1952年福岡県生まれ。京都大学法学研究科博士課程修了。博士法学(京都大学)政治思想史専攻。現在、大阪国際大学現代社会学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うえ
8
コスモポリタニズムを志向するヌスバウム、ヘルド、ハーバーマス、ポッゲらの理論を検討した後、それを批判するC・シュミット、ロールズ、ウォルツァー、D・ミラーの理論を考察する。「双方に共通していることは、世界国家を専制をもたらす危険性があるとしめ拒否している」のが興味深い。本書を離れて考えるなら、例えばイスラームというものが完全に実現すれば一種のコスモポリタニズムだろうが、実際にはアラブには極めて根深い民族主義が見られる。それをスルーしてしまうと世界統一が安易に実現するような錯覚に陥るのではないかということ。2021/10/14